「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.02.16

赤字法人への税務調査

 法人が赤字であっても税務調査はあります。

 赤字の法人に税務調査があるのは、たとえ会社の事業が赤字であっても調査の手は緩めない・・・ということではありません。

 法人の所得というのは個人の所得と異なり、特殊要因が発生しやすいためです。例えば、多額の貸倒損失の計上、親族役員への退職金支払、欠損金の繰越控除時期の操作、同族間取引などによる損失の発生などです。

 上記のような取引があると、法人所得の同族関係者への分散、同族間の利益の移転、不適切な課税の繰延べが発生します。

 さらに結果として、法人税だけでなく、個人の所得税や相続税の計算にも影響を及ぼすことになります。

 つまりこれらの取引が発生するときは、税務調査に耐えうるだけの準備、検討というだけでなく、長期的にみて、全体として節税になっているのかどうかを検討しなければならないことになります。

(税理士:白井一馬)