事業活動において、販売促進の一環としてダイレクトメール(以下DM)を送付することがあります。このDMは目的によって様々な種類が考えられます。
例えば、新規顧客の開拓、既存顧客に対するお礼や休眠顧客の掘り起こしなどがあります。
DMは使い方によっては有効な販売促進の手段となりますが、費用がかかります。
いくらDMを送付したくても、最低粗利ベースではDM費用を上回っていないと、費用対効果から見ると不適合であると言えます。
DMを送付する前に費用対効果をシミュレーションし、送付後には実際の費用対効果を検証します。
ここで、DMの費用対効果について考えていきます。
外食企業を例にとって考えていきましょう。
ある外食企業にてインセンティブ(クーポン)に「500円割引」を選び、はがきDM1,000枚送付を企画しています。
施策売上と粗利の算出
反応率は、過去にDMを出した時の経験から5%と考えています。
また、前提条件としてこの店の客単価は3,000円、1組当たりの平均来店人数は3人です。
また、この店の原価率は35%です。
そうすると、施策売上は
(1,000枚×5%)×(3,000円×3人)=450,000円
この数値がこの企画による売上になります。
次に粗利額の算出をします。
施策売上450,000円×粗利率(1?原価率35%)=292,500円
この施策の粗利額は292,500円となります。
施策コスト算出
施作コストは「インセンティブ(クーポン)のコスト」と「DM費用」の2点を考えます。
ますは「インセンティブ(クーポン)のコスト」を算出します。
(1,000枚×5%)×500円=25,000円
次に「DM費用」は
(1,000枚×50円)+印刷費用50,000円=100,000円
施策コストを合計すると
「インセンティブ(クーポン)コスト」25,000円+「DM費用」100,000円=125,000円
以上でこの施策は粗利額292,000円で費用が125,000円と算出できました。
そうすると、
効果292,000円>費用125,000円 で効果ありと判断できます。
このように、DMを送付する前にまずシミュレーションを行います。そしてシミュレーションで効果ありと判断できたら実行します。
そして、送付後、実際にそのDMによってどれだけの効果が出たかを算出し、算出結果を記録していきます。この結果を記録しておくことにより、今後のDM計画のシミュレーションの信憑性があがります。
(中小企業診断士:山本 淳一)