世の中で起こる事柄にはすべて原因があるのだから、それを追及し原因を取り除くことが解決につながる。
一見、正しい意見に思えるが、果たして本当に解決に繋がる考え方だろうか。
食品偽装などを起こした企業の経営者、この度の不況の首謀者とされている投資銀行の幹部、非正規雇用の道を選ぶ若者。こういった人々の行為が個人の自覚や倫理観の欠如といったところに原因があるという論調は、実は思考停止に他ならないと思う。
そうではなく、このような倫理観を持つにいたったこと自体が結果だと認識することでそのような考えを持つに至った本当の背景、相関関係を考えることが必要だと思う。
自分自身に起こったトラブルの原因だと思えることを、本当は原因なんかではなく結果そのものなのではないかと考えてみることで見えなかったモノが見えてくる。
なによりそれが自分自身が問題の当事者にならないための方法でもあると思う。
(参考書籍「経済成長という病」平川克美)
(税理士:白井一馬)