「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.09.16

みえないということ

 一時、国民年金の未納者が増加していることから、このままでは年金制度は破綻する、という大手マスコミや政治家による言説により、未納問題が社会問題にまでなりました。

 年金未納者が増加し、既に未納率は高率だ、年金制度は将来破綻する!  一見もっともであり、深刻な問題だと思えます。実際、私も当時はそう思いました。

 しかし、最近では年金破綻説はほとんど聞かれなくなりました。事実、未納率増加が原因で年金制度が破綻することはありえません。

 理由はかんたん。年金の未納が増えれば、確かに現在の年金財政は悪化します。しかし、未納者には将来年金が支給されないことから、未納により悪化した年金財政は長期的には元に戻ることになります。

 さらに、国民年金の基礎年金部分の半分は税金です。つまり、未納者は年金の支給を受けられないばかりか、消費税の負担により年金の財源の負担はしていることになるのです。

 このように分かってしまえば簡単なことが、気付かないあるいは、見えていない間は、マスコミも含めて誤解してしまいます。

 インターネットにより情報が溢れる時代にこそ、ニュースの中身を論理的に考え本質を理解する必要があるということの典型例といえるのではと思います。

(税理士:白井一馬)