「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.10.29

6割経済と街の画一化

景気が後退し、従来より4割も経済規模が減り、6割の経済規模しかないといわれる昨今です。そのため、6割経済という言葉が生まれました。

業種を問わず業績が落ち込む中で、成功しているのは一部の低価格志向の消費者の心をつかんだ会社だけです。「低価格高品質」がこの不況下で儲かるキーワードのように思われます。

そんな中で、町並みの画一化が起こっているといわれています。

例えば、東京の銀座といえば、全国でも有名な高級ブランドが集結する街として知られています。しかし、この不況の影響でブランド店が銀座への出店を取りやめるといった事態が起こっています。

一方で、最近流行の低価格なカジュアル衣料のブランドが相次いで銀座に出店しました。これにより、銀座の高級なイメージは少し変わるかもしれません。

また、銀座に低価格でカジュアルな衣料のブランドが出店したことで、新宿・渋谷・池袋といった周辺の地域から若者が集まってくることも考えられるので、地域間で顧客の奪い合いをするということも考えられます。

このように、地域でそれぞれ個性的な店が出店していたにもかかわらず、大型店の出店が重なれば、町並みは個性を失ってしまいます。不況の中、どうしても資本力のある大型店だけが出店する傾向になりがちです。

この大型店の出店により、地元の商店街なども影響を受けます。そしてまた、個性的な店が経営難に陥り、そこに大型店が入ります。こうやって、町並みのの画一化が進みます。

いい品物を安い値段で売る大型店は、消費者にはとてもありがたい存在です。しかし一方で、地元の町並みを守るというのも必要かと思います。どうせ歩くなら、風情ある町を歩きたいものです。その中で、色々な個性あふれる店を探すのが好きな方も多くおられるかと思います。

頭の痛い問題です。どちらかを優先すれば、どちらかが被害を受ける状態です。なんとか、共存する道は探せないものでしょうか。

知名度の高い店が出店すれば、人は増えると思います。しかし、長年かけて作り上げた街にもブランド力があると思います。そのブランド力で人を集められる街が増えて欲しいと思います。

(上田純也)