「知」の結集 ゆびすいコラム

2010.03.31

雇用保険法一部改正!!

ついに!!雇用保険の改正内容が固まったようですので、以下で概要をお知らせします。

☆主な改正内容☆ <①雇用保険の適用範囲の拡大:H22.4.1施行> 【旧】〇6ヵ月以上の雇用の見込み         +    〇1週間の所定労働時間が20時間以上 【新】〇31日以上の雇用の見込み         +    〇1週間の所定労働時間が20時間以上 ※「31日以上の雇用の見込みがある」=「31日以上雇用が継続しないことが明らかでない」ことを意味するため、これまで週20時間以上働いていても短期間の契約だから雇用保険の被保険者の対象にならなかった労働者についても、「31日以上雇用が継続しないことが明らかでない」限り雇用保険の被保険者資格取得の手続きが必要になります。

<②雇用保険料率の変更:H22.4.1施行> 【旧】(一般の事業)      労働者負担:4/1000  事業主負担:7/1000    (農林水産・清酒製造業)      労働者負担:5/1000  事業主負担:8/1000    (建設業)       労働者負担:5/1000  事業主負担:9/1000 【新】(一般の事業)      労働者負担:6/1000  事業主負担:9.5/1000    (農林水産・清酒製造業)      労働者負担:7/1000  事業主負担:10.5/1000    (建設業)       労働者負担:7/1000  事業主負担:11.5/1000 ※いずれの業種も昨年度に比べ、労働者負担:2/1000↑ 事業主負担:2.5/1000↑となっており、労働者の保険料負担だけでなく、事業主側の法定福利費の増大にも注意が必要です。

<③遡及適用範囲の拡大:H22.3.31から9ヵ月以内に施行> 事業主から雇用保険被保険者資格取得届が提出されていなかったために、雇用保険に未加入とされていた労働者について、 【旧】遡及適用可能期間:被保険者であったことが確認された日から2年前まで 【新】遡及適用可能期間:雇用保険料を天引きされていたことが給与明細等の書類により確認されれば2年を超えて遡及適用が可能 ※遡及適用される期間について保険料を納めていない場合は、雇用保険料の支払いが必要です。

以上が改正の主な内容になります。

今回の改正は①雇用保険の適用範囲の拡大、②雇用保険料率の上昇、③未加入者の遡及適用期間の改善、と事業主にとっては手続きの複雑化や保険料負担の増加が避けられません。さらに、雇用保険料を労働者から天引きしておきながら資格取得手続きを忘れていた場合には、2年を超えて遡りを要求されるケースが今後は出てくることになります。

この改正をひとつの機会として、事業所での雇用保険事務の方法を再度見つめ直し、複雑化していく雇用保険制度に翻弄されないようにしましょう。今後は特に雇用保険の適用範囲の判断が難しくなり、また手続きを忘れた際の後処理も今まで以上に複雑になってくるため注意が必要です。

社労事業部 岸本 貴史