「なぜ世界1位を目指すのか、2位ではだめなのか?」
2009年の事業仕分けで話題になった言葉ですが、この質問の対象となった次世代スーパーコンピューター「京」が6月20日発表された世界のスパコン性能ランキングで1位を獲得しました。
日本のスパコンが世界1位となるのは、2002年から2004年に首位だった海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」以来となるそうです。
世界1位を獲得した「京」は理化学研究所と富士通が共同開発中で、その施設は神戸市にあります。
「京」の開発のために投入された政府予算は1,120億円で、富士通も数百億円を投入しているようです。
この「京」のすごいところは何か?
それは1秒間に8,162兆回の計算能力です。
これは昨年まで1位であった中国の「天河1号A」(1秒間に2,566兆回)の3倍以上の計算能力となります。
ただ、この「京」は私たちの生活にどのような影響があるのでしょう?
私たちの税金で開発されていますから気になりますよね。
想定される使い道として4つあげられています。
?自動車の衝突実験
自動車の衝突実験を「京」を用いて計算でほぼ再現できる。
?新薬開発
新薬の候補となるたんぱく質などの構造を詳細解析し、選定するのを効率化する。
?新材料の開発
物質の性質を原子レベルで分析して開発につなげる。
?巨大津波再現
東日本大震災で起きた津波と同規模のものを数分間で再現。(地球シミュレータでは2時間必要)
このように将来的に私たちの生活を変えてくれる可能性を持っていますね。
また理化学研究所は「京」を企業が商品開発など営利目的で使うことを認めています。
「京」を使用した企業が計算成果を公開される場合は無料で、非公開なら電気代等の実費徴収をするようです。
この実費の大部分は電気代となるようですが、3日間利用した場合には利用料は1,000万超となるようです。
性能もさることながら、実費も桁違いですね…
共同開発をしている富士通も商用機の開発を進めており、「京」の性能を最大限に生かして、技術大国日本を改めて世界に示すことができればうれしいですね。
(水野上 崇)