「知」の結集 ゆびすいコラム

2012.05.24

年度更新の時期が近付いています。

退職者や採用者の多い3月、4月も過ぎほっと一息つきたい時期ですが、労働保険の年度更新の手続きの時期が近付いてきています。

毎年の定例業務として手続きを行うこの年度更新ですが、苦労して計算して納付した労災保険料や雇用保険料がどのように使われているかご存知でしょうか? 今回はこの「労災保険料・雇用保険料の使い道」について見ていきたいと思います。

<労災保険料:約1兆1,386億円(内435億円は労災勘定積立金から充当)> ①労災保険給付等:8,523億円 労働者が仕事(業務)や通勤が原因で負傷した場合、病気になった場合や亡くなった場合に、被災労働者や遺族を保護するための必要な給付を行うための支出 ②社会復帰促進等事業:800億円 被災労働者の円滑な社会復帰の促進や被災労働者とその遺族の援護を図るための3つの事業のための支出(社会復帰促進事業、被災労働者等援護事業、安全衛生確保等事業) ③その他:1,118億円 ①・②のほか、労災保険給付を行うための業務や労災保険料の徴収を行うための業務に必要な人件費、事務費、労災保険料の精算返還金などに支出 ④翌年度への繰り越し:1,944億円(内999億円は労災勘定積立金から充当) <雇用保険料:約2兆3,414億円> ①失業等給付:1兆6,616億円 ①労働者が失業した場合、②労働者に雇用の継続が困難となる事由が生じた場合、③労働者が自ら教育訓練を受けた場合に、生活および雇用の安定と就職の促進を図るための給付のための支出 ②雇用保険二事業:7,078億円 失業の予防、雇用機会の増大、労働者の能力開発などを図るための事業のための支出(例:雇用調整助成金) ③その他:1,195億円 ①・②のほか、雇用保険給付や雇用保険料の徴収を行うために必要な人件費、事務費、雇用保険料の精算返還金などに支出 ※いずれも平成22年度※ こうしてその後の使い道を見ていくと、使い道に納得されるかどうかはさておき、何気なく行っていた年度更手続きもその重要性を理解できるのではないでしょうか。

また、労働保険料を誤って申告・納付すると後に複雑な手続きで精算する必要が出てくるので注意が必要です。

平成24年度の労働保険年度更新手続期間は、6月1日から7月10日までです。

忘れず、正しく手続きを行いましょう!                  社会保険労務士 岸本 貴史