「知」の結集 ゆびすいコラム

2014.01.10

興行収入に見る日本の映画市場

2013年の日本の映画の売上(興行収入)が発表されました。

一位は、宮崎駿監督が引退宣言をしたことで話題だった「風立ちぬ」で、116億円でした。

次点でピクサーのモンスターユニバーシティでした。

これを見てみると2013年度はアニメが興行収入の上位を占めました。トップ10の中でアニメは7本あり、日本がいかにアニメ大国なのかがわかります。

1970年代以降 “洋高邦低”と言われてきた日本の映画市場ですが、多くの映画評論家が論じているように邦画の興行収入が昨今伸びてきました。

その理由で多くあげられるのがテレビ放映のドラマと連携し、映画はドラマの特別編という位置づけにしたという点です。以前まで映画、特に邦画は「小難しいもの」というイメージがありましたが、ドラマの延長線上にあるということでこれまで映画に行かなかった層を取り込むことに成功しています。

ところで、ハリウッドの興行収入を見てみると、2013年度アメリカ国内の第一位はアイアンマン3で3億9000万ドルでした。これだけでも日本との規模の違いが見て取れますが、ハリウッドが素晴らしい点は他にあります。

世界の興行収入を見てみると、同じくアイアンマン3が11億8500万ドルの収入をあげています。つまり、アメリカ国内だけに留まらず世界に目を向けた興行を行っています。

一方日本の興行は、国内ドラマの映画化ということで、結局日本国内向けの映画に留まり、国内だけではどれだけ収入をあげても100億円程度しか収入があげられていません。

素晴らしい技術を持っていても国内市場にしか目を向けておらず、ガラパゴス化と言われた日本の製造業ですが、映画業界を見てみても同じことが起こっていることに気がつきます。真の国際化を目指すのならば、こういったエンターテイメント業界にも目を向けてほしいものです。

(峯岡)