「知」の結集 ゆびすいコラム

2014.12.03

美術品の減価償却について【平成27年改正予定】

国税庁は、時の経過により価値の減少しない美術品等の 取扱いに関する通達の改正を検討しています。

会社の応接室や社長室などでよく見かける絵画や 置物などの美術品については、従来より減価償却をするか 否かを判断するための基準が設けられています。

具体的には法人税基本通達等で下記のように規定されて います。

1.古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値 又は希少価値を有し、代替性のないもの 2.美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る 書画、彫刻、工芸品等 上記に該当するものは「書画骨とう」に該当し、減価償却 資産に該当しない。

ただし、「書画骨とう」に該当するか明らかでない美術品等 で1点20万円未満であるものについては、減価償却資産 として取り扱うことができるものとすると定められています。

改正案によると、時の経過により価値の減少しない いわゆる『非減価償却資産』の範囲について、上記2の部分が 「1以外の美術品等で取得価額が1点100万円以上で あるもの」 となるようです。

裏を返せば、取得価額が1点100万円未満であるものは 時の経過により価値の減少しないことが明らかなものを除き 減価償却資産として取り扱われることになります。

この通達の改正は、平成27年1月1日以後に開始する 事業年度(個人においては平成27年分以後の年分)において 有する美術品等について適用される予定です。

また現在、減価償却資産としていない美術品等であっても 上記の改正後の基準に沿って判定した結果、減価償却資産 として取り扱うことができるものは、平成27年1月1日 以後に開始する事業年度から減価償却資産として償却する ことが認められますので、注意が必要です。

(森脇 啓明)