「知」の結集 ゆびすいコラム

2015.02.10

がんばれGPIF!!

みなさん、こんにちは。

ゆびすい労務センターの山口です。

今回のテーマは、「年金」です。全国民共通の関心ごとでもある年金について、掘り下げてみたいと思います。

現在、日本の年金制度は、「世代間扶養」の考え方に基づいて運営されています。世代間扶養とは、現役世代(いま働いている人たち)が払った保険料を、いま年金をもらう世代の人たちへの給付に使うという方法です。かつての日本は二度のベビーブームなどもあり、給付を受ける人たちの数と現役世代の数が良いバランスで、世代間扶養は上手く機能していました。

しかし、徐々に少子高齢化が進み、現在は人口の約4分の1が年金を受給する側へと回ってしまいました。かつては10人以上の現役世代で1人の高齢者を支えていた(胴上げ型といわれています)のが、現在は4人の現役世代で1人の高齢者を支えるような形(騎馬戦型)に変わり、いずれは1人で1人を支える形(肩車型)になるとさえ伝えられています。

この傾向を受けて政府は、50年後も人口1億人を維持するべく、将来に向けて様々な策を講じています。それと並行して、足元の年金財政健全化のためにも、保険料率や受給開始年齢の引き上げや、受給額を見直すなどの多くの取り組みがなされています。そんな中、最近にわかに注目を集めているのがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という機関です。

政府や私たちがどんなに頑張っても、いま活躍している現役世代の数を増やすことはできません。つまり、少子高齢化対策は、年金財政の健全化に対してという意味では、中長期的な対策といえるでしょう。では、年金財政を短期的に立て直すにはどうすれば良いのでしょうか。そこで登場するのがGPIFです。GPIFは文字通り私たちが積み立てた年金を管理・運用する機関で、その総資産はなんと127兆円もの規模です! 日本が世界に誇る企業、トヨタ自動車の総資産が41兆円であることを考えると、そのとてつもない規模に驚くばかりです。今、その資産の内訳(ポートフォリオ)を組みなおそうという動きが広がっています。現在、GPIFの保有資産の内訳は、国債が67%、国内株が11%、外国債が8%、外国株が9%、その他資産が5%です。超低金利時代で、国債を保有しているだけでは収益増は望めないことから、今後は国債の割合を下げ、国内外の株式や外国債の割合を増やし、年金積立金の運用収益を上昇させようとしています。

個人投資の考え方と同様に、株式や外国債での運用となると、国債の保有以上に運用リスクが高まることはいうまでもありません。積立金は私たち国民の資産であり、その運用には透明性も求められます。

しかし、リスクを取らなければ成功が無いことも世の中の真理です。仮に年4%で運用することができると、20年後には資産が倍になり、年金に関する私たちへの負担も大きく軽減されることになるかもしれません。年金をはじめ、社会や経済の動きに興味を持ち、常に目を光らせておく姿勢こそが私たちの義務ともいえるでしょう。

社会保険労務士法人 ゆびすい労務センター
社会保険労務士 山口 征司