「知」の結集 ゆびすいコラム

2015.11.10

養子縁組という相続対策

 昔から相続対策の1つに養子縁組があります。みなさんも言葉を耳にしたことはあると思います  相続税の改正により基礎控除額が引き下げられ、養子縁組による節税メリットがなくなったとおっしゃる方もいます。たしかに、基礎控除額が法定相続人1人あたり1千万円から600万円になったことで節税効果は薄れはしました。

しかし、養子縁組による節税効果は、基礎控除額だけではありません。法定相続人が増えることにより、最大税率が変わる場合があり、これにより多大な節税効果が出ることがあります。

仮に、相続財産1億、相続人が子供1人の場合において   ① 養子縁組なしで、法定相続人1人のままのとき     相続税総額は1,220万円   ② 1人養子縁組し、法定相続人が2人になったとき     相続税総額は、770千円   その差額450万円となり、相続税が36%も減少します。

もちろん、養子縁組することで養子の方に相続権が発生しますので、争族を引き起こすような方を養子にすることはお勧めできませんが、争族の問題がない場合は現在も非常に有効な手段です。

養子縁組の手続きも、市役所に「養子縁組届出書」を提出するだけと非常に簡易で、特段の専門知識もいりません。

近年は少子化のため、例のような法定相続人が1人という案件も多いと思われます。実際に相続対策になることが確認できた場合は、孫を養子縁組するなど、一度ご検討されてはいかがでしょうか。

(税理士 東海佳宏)