「知」の結集 ゆびすいコラム

2016.04.04

生命保険と相続税対策

 相続税対策の一つに生命保険の活用があります。

相続税の対象となる財産の中にも非課税の対象となる財産があります。
その一つが死亡保険金です。
ただし、死亡保険金の全てが非課税になるのではなく、次の算式で求めた金額まで非課税となります。
500万円×相続人の数=非課税限度額

事例で見ていきましょう。
被相続人:父  相続人:母、子の計2人 死亡保険金:母へ1,000万円、子へ1,000万円の計2,000万円
保険金の非課税限度額 500万円×相続人の数(2人)=1,000万円

この場合、母・子ともに1,000万円が非課税となるのではなく、合計で1,000万円が非課税となります。
母・子の非課税金額は次のように、母と子の保険金額で按分して求めます。

母の非課税金額 1,000万円(非課税限度額)×1,000万円(母の保険金額)÷2,000万円(合計保険金額)=500万円
子の非課税金額 1,000万円(非課税限度額)×1,000万円(子の保険金額)÷2,000万円(合計保険金額)=500万円

従って、母が受取る保険金額の内500万円が非課税となり、残りの500万円は相続税の対象となります。
子につきましても母と同様に500万円が非課税となり、残りの500万円は相続税の対象となります。


非課税限度額に達していない方の対策として一時払終身保険の加入があります。
一時払終身保険を活用した事例をご紹介します。

被相続人:父 相続人:母、子の計2人 相続財産:預金7,000万円、自宅3,000万円の計1億円 
一時払終身保険に1,000万円加入 保険受取人:母、子(各500万円)
① 加入前相続税:770万円(相続財産 1億円)
② 加入後相続税:620万円(相続財産 1億円-1,000万円【保険金非課税金額】=9,000万円)
③ 節税額:150万円

このように最終的に受け取る財産は母と子あわせてどちらも1億円ですが、預金で相続する場合と比べ相続税を150万円節税することができます。

最近はマイナス金利の影響により、一部保険会社では一時払終身保険等の商品を販売停止や販売休止にするという話題が取り上げられていますので、早めの相続税試算及び保険活用による節税額の試算をお勧めします。


相続専門部 山崎裕也
相続