「知」の結集 ゆびすいコラム

2016.04.08

改正社会福祉法が成立

社会福祉法人改革を柱とした社会福祉法改正案が、3月31日の衆議院本会議で可決、成立しました。
弊社の過去のコラムにも記載しておりますように、改正点は大きく分けて
(1)経営組織のガバナンス強化
(2)事業運営の透明性の向上
(3)財務規律の強化(内部留保の明確化・社会福祉事業等への計画的な再投資)
(4)地域における公益的な取り組みを実施する責務
(5)行政の関与の在り方

の5つです。

経営者の皆様の関心が高い評議員会の全法人必置は、平成29年4月1日施行。
財務諸表の公開等の「事業運営の透明性の向上」と、所轄庁に改善勧告の権限を持たせる「行政関与の在り方の見直し」については、今年4月1日施行です。
また、「財務規律の強化」について、平成28年度決算で「社会福祉充実残額」を有する法人に対し、地域貢献などを盛り込んだ社会福祉充実計画の作成・実施が平成29年度から義務付けられます。
つまり、内部留保を地域に還元することが求められるということです。

この「社会福祉充実残額」の計算については、以下のように規定されています。

社会福祉充実残額=(A)-(B)
(A)貸借対照表の資産から負債を控除した額(つまり純資産額)
(B)基準日において現に行っている事業を継続するために必要な財産の額として厚生労働省令で定めるところにより算定した額
(A)については純資産であり明らかですが、(B)については「厚生労働省令で定めるところにより算定した額」となっており省令が待たれますが、社会保障審議会福祉部会の報告書には以下のような記載があります。

「控除対象財産額は、
①社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等(土地、建物、設備等)
②現在の事業の再生産に必要な財産(建替、大規模修繕に必要な自己資金)
③必要な運転資金(事業未収金、緊急の支払いや当面の出入金のタイムラグへの対応)
を基本に算定することが考えられる。」

この中で注目すべきは、②の「現在の事業の再生産に必要な財産(建替、大規模修繕に必要な自己資金)」です。
ぜひ、決算理事会等で法人の中長期計画を作成し、それに基づく積立計画を立てて下さい。
そしてそれを平成27年度決算に反映させることが、現時点で法人にできることです。
同時に、決算に基づく社会福祉充実残額の計算もおすすめします。


弊社には、社会福祉法人の会計・労務・管理運営に詳しいスタッフが多数在籍しており、改正社会福祉法への対応をご支援しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。
 


西辻 勇人

教育・福祉事業