「知」の結集 ゆびすいコラム

2016.04.18

パナマ文書

パナマ文書が世間を騒がせています。

パナマ文書とは、パナマにある法律事務所モサック・フォンセカから流出したデータです。
モサック・フォンセカは、タックスヘイブンでの法人設立を専門に手掛けている法律事務所であり、
流出したデータは、設立依頼を受けた法人21万件に関わる顧客データと言われています。
さて、タックスヘイブンが問題視されるのはなぜでしょうか?
それには、次のような理由があります。
①富裕層や大企業の租税回避に利用されている。

税率を著しく低く設定することで、富裕層や大企業を誘致し、租税回避に利用されています。
パナマ等の小国のタックスヘイブンに住む人は税収をあてにしておらず、
法人設立収入等を得ることで成り立っています。
富裕層の租税回避による税収減は、結果的に中低所得者層が負担することになります。 
②マネーロンダリングやテロ資金に利用されている。

犯罪等で得た収入を、タックスヘイブンを通してマネーロンダリング(資金洗浄)し、
出どころの分からない資金に変えて表社会に出したり、
テロ資金の隠匿や移送へも関与していると言われています。


①や②は、タックスヘイブンが情報を秘匿し、外部に開示しないことが原因となっています。
一度タックスヘイブンに資金や所得が流れてしまうと、金融取引に関する情報を得ることができなくなり、
課税当局等が追及することも困難です。


日本人がタックスヘイブンに会社を設立する目的として多いのは、
相続税や株式投資等の譲渡益税の租税回避と言われていますが、
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、今後どのようなリストを公開するのか注目です。


税理士 高田祐一郎
税金