「知」の結集 ゆびすいコラム

2016.09.28

いまこそ見直しておきたい経理規程(社会福祉法人会計基準)

社会福祉法人制度改革として、「社会福祉法等の一部を改正する法律」が平成28年3月31日に成立し、公布されました。

評議員会が必置の議決機関となるなど、全ての社会福祉法人に大きな影響を与えます。

ただ、現時点では具体的な通知が出ておらず、今年10月に新たな詳しい通知が出ると発表されています。また社会福祉充実残額の詳細な計算方法については、来年1月に発表されるということです。

現在までに発表されている通知だけでは、まだ不確定な要素が多いため具体的な対策を取ることができません。
このような状況ですので、社会福祉法改正については新たな通知が出されるのを待つことしかできませんが

新たな通知が出される前の今だからこそ、確認しておきたいことがあります。

それは、社会福祉法ではなく、社会福祉法人会計基準の改正です。

あまり話題にはなりませんでしたが、平成28年3月31日付で改正(平成28年厚生労働省令第79号)が行われています。
そしてこの改正は平成28年4月1日以後に開始する年度から適用されますので、平成28年度から適用されます。
ただ、あまり話題にならなかった理由として、以前の会計基準の改正に比べて大きな改正ではなかったことが挙げられます。
しかし改正は行われています。では何が変わり、決算書にどのように反映されるのか。

会計処理自体については、旧来通りの処理で概ね変化はありませんが、作成する書類の名称が変わりました。

一番大きな名称の変化として、決算書類の名称が

「財務諸表」 ⇒ 「計算書類」

に変更になりました。元の名称に戻ったような形になります。

その他の名称変更は以下の通りです。

(1)計算書類の名称が、

・資金収支計算書 ⇒ 法人単位資金収支計算書
・事業活動計算書 ⇒ 法人単位事業活動計算書
・貸借対照表 ⇒ 法人単位貸借対照表
・法人全体で記載する注記 別紙扱いではなかった ⇒ 別紙1

・拠点区分で記載する注記 別紙扱いではなかった ⇒ 別紙2

(2)法人全体で作成する附属明細書として

・借入金明細書 別紙① ⇒ 別紙3(①)
・寄附金収益明細書 別紙② ⇒ 別紙3(②)
・補助金事業等収益明細書 別紙③ ⇒ 別紙3(③)
・事業区分間及び拠点区分間繰入金明細書 別紙④ ⇒ 別紙3(④)
・事業区分間及び拠点区分間貸付金(借入金)残高明細書 別紙⑤ ⇒ 別紙3(⑤)
・基本金明細書 別紙⑥ ⇒ 別紙3(⑥)

・国庫補助金等特別積立金明細書 別紙⑦ ⇒ 別紙3(⑦)

(3)拠点区分で作成する附属明細書

・基本財産及びその他の固定資産(有形・無形固定資産)の明細書 別紙1 ⇒ 別紙3(⑧)
・引当金明細書 別紙2 ⇒ 別紙3(⑨)
・拠点区分資金収支明細書 別紙3 ⇒ 別紙3(➉)
・拠点区分事業活動明細書 別紙4 ⇒ 別紙3(⑪)
・積立金・積立資産明細書 別紙⑧ ⇒ 別紙3(⑫)
・サービス区分間繰入金明細書 別紙⑨ ⇒ 別紙3(⑬)
・サービス区分間貸付金(借入金)残高明細書 別紙➉ ⇒ 別紙3(⑭)
・就労支援事業別事業活動明細書 別紙⑪ ⇒ 別紙3(⑮)
・就労支援事業別事業活動明細書(多機能型事業所等用) 別紙⑫ ⇒ 別紙3(⑮-2)
・就労支援事業製造原価明細書 別紙⑬ ⇒ 別紙3(⑯)
・就労支援事業製造原価明細書(多機能型事業所等用) 別紙⑭ ⇒ 別紙3(⑯-2)
・就労支援事業販管費明細書 別紙⑮ ⇒ 別紙3(⑰)
・就労支援事業販管費明細書(多機能型事業所等用) 別紙⑯ ⇒ 別紙3(⑰-2)
・就労支援事業明細書 別紙⑰ ⇒ 別紙3(⑱)
・就労支援事業明細書 別紙⑱ ⇒ 別紙3(⑱-2)

・授産事業費用明細書 別紙⑲ ⇒ 別紙3(⑲)

(4)財産目録 別紙5 ⇒ 別紙4

以上、箇条書きで計算書類等の名称の変更点について記しました。

名称の変更点について書きましたが、これだけですと「決算を行う際に別紙の名称に気を付けよう」という話で終わりますが、ここでタイトルの経理規程が出てきます。

経理規程のなかには、「財務諸表」「資金収支計算書」「事業活動計算書」「貸借対照表」などの名称が記載されているかと思います。

これらの名称は平成28年4月1日から変更になっていますので、まだ経理規程の改訂を行っていない場合、改訂が必要になります。

新たな通知が発出されると、理事会・評議員会をどのようにしていくかなどが関心の中心となり、なかなか経理規程までは手が届かないというところが正直なところではないかと思います。

この時期に、経理規程の見直しをされてみてはいかがでしょうか。

大窪 浩太 

教育・福祉事業