2016.11.29
今年も残すところ1ヵ月となりました。この時期、経理や総務の方々は年末調整の作業に追われているのではないでしょうか。
そこで、今回は国民年金保険料を納めた場合の社会保険料控除の注意点について説明したいと思います。
国民年金保険料はその支払った金額の全額が社会保険料控除の対象となります。そのため、国民年金保険料の控除を失念してしまうと税負担が大きくなってしまいます。
ところで、現在、国民年金保険料には「後納制度」と「2年前納制度」があります。「後納制度」とは、時効により納めることができなかった国民年金保険料について、過去5年分まで遡って納めることができる制度です。一方、「2年前納制度」は翌2年分を前払いできる制度です。
「後納制度」を利用して国民年金保険料を納めた場合、その支払った全額が本年分の社会保険料控除の対象となります。例えば、平成27年度の国民年金保険料を平成28年中に支払ったときは、平成28年分の社会保険料控除の対象になります。前年以前の社会保険料控除が増えるわけではないので注意してください。
「2年前納制度」を利用して国民年金保険料を納めた場合にはさらに注意が必要です。前納した国民年金保険料はその全額を支払った年分の社会保険料控除の対象にすることもできますし、各年分の保険料に相当する額を各年で控除することもできます。
例えば、平成28年中に平成28年度分(100,000円)と平成29年度分(150,000円)の国民年金保険料を納めたとします。この場合、250,000円を平成28年分の社会保険料控除とするか、100,000円を平成28年分の社会保険料控除、150,000円を平成29年分の社会保険料控除とするか、選択することになります。
また、年末調整作業中に「2年前納制度」を利用した控除証明書が添付されていた場合、どちらの方法を選択するか聞いてあげると親切ですね。