「知」の結集 ゆびすいコラム

2017.02.07

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し ~150万円の壁について~

平成29年度税制改正が発表され、数か月が経ちました。そこで、今回はその税制改正の一部である配偶者控除及び配偶者特別控除に焦点をあてて再確認してみたいと思います。

①改正前

(1)配偶者控除

配偶者の給与収入が103万円以下であれば、本人の所得税の対象となる所得金額から38万円が控除されていました。

(2)配偶者特別控除

配偶者の給与収入が103万円を超えた場合でも、給与収入が103万円~141万円の場合であれば、一定の金額が本人の所得金額から控除されていました。

②改正後

(1)配偶者控除

本人の合計所得金額が900万円以下であれば、改正前と控除額等の変更はありません。これに対し、本人の合計所得金額が900万円超1000万円以下である場合に、一定の金額を本人の所得金額から控除するという点が改正されました。さらに、本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用はできないという改正も行われました。

(2)配偶者特別控除

従来は、配偶者の給与収入が141万円以上になると配偶者特別控除は受けられませんでしたが、改正後は201万円まで受けることができるようになりました。このうち、配偶者の給与収入が150万円以下の場合、控除額は一律38万円で、これを超えると控除額は段階的に引き下げられます。ただし、この配偶者特別控除についても、配偶者控除と同様に本人の合計所得金額によって控除額が減額され、合計所得金額が1000万円を超えると適用はできなくなります。

③まとめ

なぜ今回の配偶者控除の改正が「150万円の壁」と呼ばれているのかというと、配偶者特別控除の拡充によって、配偶者の給与収入が103万円を超えても、150万円以下であれば配偶者控除と同様の38万円の所得控除を受けられるという点にあるようです。

税理士 中村 忠
税 金