「知」の結集 ゆびすいコラム

2017.02.03

セルフメディケーション税制について

従来の医療費控除制度の特例として、2017年1月より「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が施行されました。
これは、特定の成分を含んだ医療品OTC医薬品の年間購入額が1万2,000円を超えた場合に適用される制度で、従来の医療費控除との選択適用となります。

この税制を受けるためには、健康保持増進及び疾病予防の取り組みとして「一定の取組」を居住者が行っていることが要件となります。この要件とは以下の通りです。

① 保険者(健康保険組合、市町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
② 市町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
③ 予防接種(定期接種又はインフルエンザワクチンの予防接種)
④ 勤務先で実施する定期健康診断(事業主健診)
⑤ 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)又は特定保健指導

⑥ 市町村が実施するがん検診

この特例は2021年12月31日までの期限があるものにはなりますが、比較的従来の医療費控除に比べると金額のハードルが低く、例えばお子さんのいるご家庭や普段病院にかからないといったご家庭でも医療費控除を行える機会が出来てくる制度だと思われます。

そもそも、医薬品の分類については
「医療用医薬品:お医者さんが処方する医薬品」
「一般用医薬品:薬局・ドラッグストアなどで販売されている医薬品」
と分類され、この「一般用医薬品」について、通称として我々が馴染みのある「大衆薬」「市販薬」と呼んでいたものをOTC医薬品と呼ぶようになったそうです。

また、もともと処方箋として出されていた医療用医薬品の成分を含む医薬品が薬局等で買えるように転用されてきており、そのような医薬品については「スイッチOTC医薬品」と呼んでいるそうです。

「セルフメディケーション」とはWHOで「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義されています。そして、今回創設された税制の目的は、「セルフメディケーション」の推進を目的としています。

この税制において注意すべき点として、医薬品全てがこのセルフメディケーション税制の対象となるわけではありません。上記で「特定の成分を含んだ医療品」と記述したように、厚生労働省ではOTC医薬品に含まれる成分のうち、どの成分が有効なものなのかを明記して公表しています。平成29年1月13日時点で、税制に対応するものとされている成分は83種類あり、この成分を含むOTC医薬品の対象品目として1500品目あるそうです。

このブログをご覧いただいている方がこの税制に対応している医薬品かどうかを判断する際の判断材料として、厚生労働省のHPでこの税制に対応している商品かを確認することができます。(下記PDF参照)

PDF アイコン - オフィシャルな PDF アイコンは Adobe からダウンロードできる対象品目一覧

また一部の製品については、関係団体よりこの税制に対応した医薬品であることを証明するロゴを入れているので、購入パッケージに「セルフメディケーション・税・控除対象」という青色のロゴをご確認いただくことで判断できるようになっています。

最後に、この税額控除を受けられるのは来年(2018年)の確定申告からです。
ですが、確定申告を行うためには領収書や証明書が必要ですので、ドラッグストア等での購入の際には領収書をもらうことや、来年までの保管をすること。

また、会社の健康診断や予防接種など、この制度を受けるための行動をお忘れなく。

福岡事業部  大神 裕司
税 金