「知」の結集 ゆびすいコラム

2017.09.29

特色ある学校づくりのためのSWOT分析

 SWOT分析をご存知ですか?

SWOT分析とは、「組織における内部環境と外部環境を分析し、今後の方向性や戦略を立案する際に用いる経営手法」で、S…強み(Strengths) W…弱み(Weaknesses) O…機会(Opportunities) T…脅威(Threats)の頭文字をとったものです。

こんな話をすると「学校経営でも使えるの?」「学校は子どもを育てる場所なんだから戦略とかいらないよ」という声が聞こえてきそうですが、「貴校(園)の売りは何ですか?」と聞かれて経営者や教職員が即答できる学校は少ないように思います。

では、売りを打ち出せない学校はどうなるのか?少子化が進み生徒(園児)数が減少し、廃校(園)する学校が公立・私立を問わず急増していることは、他人事ではなくなるかもしれません。

ここで、著者がコンサルティングをさせて頂いている幼稚園の事例をご紹介します。その園では「絵本の読み聞かせを毎日行う」「育児担当制により園児と職員間の愛着を育む」などの明確な売りを打ち出すことで、地域でも注目の園となり、園長への講演依頼が殺到したり、他府県から同業団体が見学にくるなどの成功をおさめています。

この事例を聞いて「なんだ、売りってそんなことでいいのか」と思っていただけたかと思います。自校が大切にしていて、保護者や地域から共感を得られるものを見つけ出し、それを外部にアピールするだけでいいんです。SWOT分析はそれを見つけ出すための手段なのです。

SWOT分析を行うメリットは、①自校(園)の良さや問題点が明確になり、教職員間で共通認識がもてる、②保護者や地域へ売りを伝えやすくなる、③売りに共感した教職員を採用でき、離職防止につながる、などが挙がります。やらない手はないでしょう。

SWOT分析の手順は下記の通りです。
1、教職員へSWOT分析の目的・趣旨を説明
2、定例会議の開催(月1回程度)
3、自校(園)の強みと弱みを各自で書き出し、似たものをまとめていく
4、自校(園)に影響がありそうな機会と脅威を書き出す
  ※機会(例)・・・自然、文化、保護者、小学校など
    脅威(例)・・・競合校(園)、若者の県外流出、核家族化など
  ※機会と脅威は裏表になることもあるので、自校(園)の事情に合わせ
    て判断してください。

5、強み、弱み、機会、脅威を組み合わせ、目指すべき方向性をまとめる

下記に認定こども園の例を挙げます。まずは分析から始めます。
【強み】 ・定員数が少ないため目が行き届きやすい 
       ・職員間の人間関係が良い ・食育に対する保護者の評判が良い
【弱み】 ・新規採用が難しい ・職員数がギリギリのため休みがとりにくい
      ・園舎が老朽化している
【機会】 ・兄弟で通う家庭が増加 ・近隣の大学に保育科が新設
      ・処遇改善加算Ⅱが設定された

【脅威】 ・近隣に大規模なこども園ができた ・保護者の要求が多様化

続いて、それぞれの要素を組み合わせます。
【強み×機会】安全な食事へのこだわりによる「食育」を全面的に打ち出した試食会を定期開催する。
【強み×脅威】小規模園ならではの目の行き届いたあたたかな教育・保育を武器に、保護者の様々な要望にきめ細かく対応できる組織体制・教育制度を作る。
【弱み×機会】⇒他園より早く処遇改善加算Ⅱへの対応に取り組み、待遇向上の恩恵を職員に与えることで新規採用者を増やす。

【弱み×脅威】⇒歴史ある園舎の良さを残しつつも改修により安全性を確保し、設備面で他園に劣らない園舎を維持する。

ほら、方向性が見えてきたのではないでしょうか?

中小企業診断士 岸田 成弘

教育・福祉事業