「知」の結集 ゆびすいコラム

2015.07.15

午前8時59分60秒

1日は24時間。

これは唯一、皆平等であり、1秒もムダにしたくないものですよね。

もし1日が1秒でも長くなったら何をしたいですか…? 私はその1秒を数えることしか出来ませんでした。

皆さんはいかがお過ごしになりましたか?(笑) さて、今年は7月1日に、26度目3年ぶりの“うるう秒”が挿入されました。

うるう秒が初めて挿入され出したのは1972年だそうです。時刻は、かつて地球の公転・自転に基づく天文時(世界時)から決められていましたが、1958年より原子の振動を利用した原子時計(セシウム133原子の遷移周波数を使い、数万年に1秒ずれるだけの高精度の時計)に基づく国際原子時が開始され、1秒の長さが非常に高精度なものとなった結果、原子時計に基づく時計と天文時に基づく時刻との間にズレが生じるようになりました。

そこで、原子時計に基づく時刻を天文時とのズレが0.9秒以内に収まるように調整を行った時刻を世界の標準時(協定世界時)として使うことにしており、地球の回転の観測を行う国際機関である「国際地球回転・基準系事業(IERS:International Earth Rotation and Reference Systems Service 所在地パリ)」が決定して、うるう秒を挿入して調整しているのだそうです。

ちなみに、世界時と日本時間では、日本時間の方が9時間進んでいるので日本では午前8時59分の最後の秒で調整されています。

私は、うるう秒が挿入される理由として、地球の自転の速度が徐々に遅くなっているために、国際原子時との差を調整する働きとして挿入されているのかと思っていました。

たしかに、長期的な傾向としては地球の自転が徐々に遅くなっているのは事実だそうですが、1ユリウス世紀(ユリウス年の100倍、すなわち36525日)に1.7ms(ms:1000分の1秒)/日ほどしかない遅れのため度外視されるくらいらしいです。それよりも1ユリウス世紀とは全く馴染みのなかった言葉でした…(笑) うるう秒で時間が調整されると銀行や証券会社など金融業界をはじめ、ライフライン業界などIT時代の現代には多くの業界で影響が出てしまいます。将来的には“うるう秒”を“うるう分”に変更しようとする案が出てきていますが、個人的にも、“うるう秒”を廃止して時間の調整が数百年に1度くらいで済む“うるう分”を採用して被害や混乱など時間の調整による影響を抑えてほしいなと思います。

(西山 祥司)