問題解決事例集

問題・ご要望効果的な遺産分割 誰がどの財産を相続すべきか

解決策

問題:
被相続人(亡くなった方)はマンションをはじめ、多数の不動産物件を所有していました。
相続人は被相続人の配偶者と子供2人の計3名。誰がどの財産を相続することが最も効果的か相談を受けました。

解決アプローチ①:
まず、配偶者がどれくらいの財産を相続するのかは、税務上一つの大きなポイントになります。配偶者は総財産の1/2までは財産を取得しても相続税がかかりません。(非課税)
ここだけを見れば、配偶者の「1/2の非課税枠」を使い切ることが最も有利と考えられるかも知れませが、一概にそうではありません。今度は配偶者の相続がまた近づいており、配偶者があまり多額の資産を取得してしまうと次の相続税が高額になってしまう可能性があるためです。

そのため、配偶者の相続発生時期を仮設定し、それまでの生前贈与計画をシミュレートします。そのシミュレーション結果を踏まえ、今回の相続で配偶者がどれくらい相続すれば、この2回の相続にかかる相続税の合計額が最もおさえられるかを導き出します。

解決アプローチ②:
アプローチ1で配偶者の相続取得額を確定させた後、次は配偶者が「どの資産」を取得するかを考えます。考え方としては、時価が近く増加する可能性が高い資産や、高収益性の不動産資産は避けます。そうしないと配偶者の相続の際に課税対象資産が大きく膨らんでしまうからです。
逆に時価の下落が予定されるような資産(例えば非収益性の建物等)や、生前贈与を行うための名義移動が簡単にできる資産を中心に取得します。

ポイント:
遺産分割時において、配偶者の取得割合は重要な税務ポイントとなります。
配偶者がどれだけ資産を所有しているか、今後の生前贈与計画をどう行うか等々、少なくとも一次相続の遺産分割時には計画しておきたいものです。
また、シミュレーションは将来の不確定な事象を仮設定して行っているため、定期的に贈与計画等の見直しが必要となります。