問題解決事例集

問題・ご要望貸倒損失Part1(債務者が夜逃げした場合)

解決策

現状:
取引先に対する債権が回収できないことは企業にとって資金面等で大きな痛手となります。債権が回収できないのならせめて税金だけでも安くならないか?そうです、貸倒損失を計上すると税金が安くなります。しかし、債権が回収できない状況はさまざまであり、かつ税務上の貸倒損失の計上は注意して行わないと税務調査で否認を受けることになります。そこで今回は取引先が夜逃げした場合の「貸付金」の貸倒損失の計上についてご紹介します。

対応策:
以下の事実を記録した書類を保存してもらい、その貸付金の全額について貸倒損失を計上してもらいました。
・会社、代表者など連絡が付くと思われる先に電話をかけたが不在又は不通であった事実
・督促状を内容証明郵便で会社、代表者などに送付したが届かなかった事実
・興信所等に依頼しても代表者などの所在がつかめなかった事実
・所在不明になる直前に決算書をもらっている場合はその決算書においてすでに債務超過であった事実
・その他、回収できる資産がない、又は保証人がいないことを確認した事実
なお、今回は貸付金の事例ですが、売掛金である場合はその会社との取引を停止して1年以上経過しているときは、備忘価額(例えば1円)を残して残額を貸倒損失として計上することも可能です。

結果:
税務調査において調査官に「これらの努力を講じても回収できないということは、もう回収できないでしょうね。」と共感を得、貸倒損失の計上について指摘はなかった。

ポイント:
債務者から回収できる資産がないこと、かつその所在が不明であることが今回の貸倒損失の計上ポイントとなります。
ですからできる限りその状況を説明できる資料を保存してください。
なお、上記に記載している書類すべてを常に収集する必要はないかと思います。貸倒損失の計上金額やその他の状況に応じて収集の参考にしてください。