「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.01.30

事業承継税制 ?その2?(納税猶予とは)

 税制の定めたとおりの事業承継を行い、さらに税務署への手続きを行なって認定のお墨付きが得られれば、贈与税の全額または相続税の8割(ただし議決権の3分の2まで。これは贈与税も同様です)の納税猶予が受けられます。

 では納税猶予とはどんな制度なのでしょうか。例をあげてみましょう。

 本来は5千万の贈与税(相続税)を納める必要がある。ただし、そのうち3千万円は納税猶予になった、という内容であったとすると、とりあえず申告時に納税するのは2千万円だけでよいことになります。

 で、納税猶予を受けた納税者がその後にたどる道のりは次の2とおりのパターンがあることになります。

パターン1 納税猶予額の打ち切り  これは、上記の例で言うと猶予された3千万円を(利子税とあわせて)後になって納めないといけないということです。

パターン2 納税猶予額の免除  これは、猶予された3千万円が晴れて猶予から免除に切り替わり、今後納める可能性はなくなるということです。

 今回の事業承継税制では、事業を引継いだ後継者が事業の継続(これは5年間)と株式の保有(こちらは死ぬまで!ただし例外もあります)を継続することがパターン2の免除の要件(つまり納めなくてよい)となっています。

 逆に最悪なのは、要件を満たすことができなくなり、打ち切り(つまり3千万円の本税と利子税の納税)になるケースといえます。

 今後の経済状況を考えると納税猶予打ち切りは非常に大きなダメージとなります。

 業績が悪化し事業継続の要件が満たせず納税猶予打ち切り、当然業績が悪化しているので猶予額は払えない、というのが最悪のパターンです。

税理士:白井一馬