「知」の結集 ゆびすいコラム

2020.10.15

理事会・評議員会の書面決議について(学校法人・社会福祉法人)

 今般の新型コロナウィルスの影響により、理事会や評議員会の開催について苦慮されている法人様も
多くいらっしゃるかと思います。そこで、対応策である書面決議(みなし決議)につきまして、学校法
人と社会福祉法人を比較しながら、手順や注意点を再確認してみたいと思います。
 
(1)学校法人
  ≪書面出席≫の方法があります。
   ◇ 法人の寄附行為において、「理事会(評議員会)に付議される事項につき書面をもって、あら
     かじめ意思を表示した者は、出席者とみなす。」旨の規定が必要です。
   ◇ 社会福祉法人の「みなし開催」の制度はありません。
   ◇ 実際の開催が必要であり、出席できない方は「書面表決」することで出席者とみなすことが
     できます。
   ◇「書面表決」とは、開催までに、議案ごとに賛成・反対を表明する書面を提出することです。
   ◇ 委任状出席(議長や理事長に一任)は、一切認められません。
   ◇ 一人か二人が集まり、残り全員が書面表決の場合については、一般的には、法律上は可能、
     倫理上は不適当と考えられていますので、注意して下さい。
 
(2)社会福祉法人
  ≪みなし開催≫の方法があります。
   ◇ 法人の定款において、「理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の
     全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議
     を述べたときを除く。)は、理事会の決議があったものとみなす。」旨の規定が必要です。
     尚、評議員会については、社会福祉法において認められています。
   ◇ 学校法人の「実際開催した上での書面出席制度」はありません。
     つまり、実際開催する方法において出席できない方は、欠席者扱いになります。
 
   【みなし理事会(評議員会)の手順】
     1.理事長より、理事及び監事(評議員)に「決議すべき事項」を提案
     2.理事及び監事(評議員)全員が提案事項に同意
     3.全員から同意書を回収した日(最後の方の同意書が届いた日)に理事会(評議員会)決議
      があったものとみなされる
     4.理事会(評議員会)議事録作成
 
   【注意点】
    ◇ お一人でも反対の場合や同意書の提出がなかった場合は否決となります。
    ◇「決議があったものとみなされる日」を設定した上で提案を行うことも可能です。
    ◇ 同意書の記載事項
      理事(評議員)
      「理事会(評議員会)を開催せず決議することに同意」「決議内容に賛成」が必要
      監事
      「理事会を開催せず決議することに同意」が必要
    ◇ 理事長(及び業務執行理事)の自己の職務執行の状況の報告は、みなし理事会で行うことは
      認められず、実際に開催する理事会で報告する必要があります。
 
                                    登記事業部 穴瀬 素彦
 
 
教育・福祉事業