「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.01.29

事業承継税制 ?その1?(事業承継とは)

 21年度税制改正で注目される事業承継税制とはいったいどのようなものでしょう。

 非上場株に対する相続税が8割納税猶予されるという事業承継税制ですが、では、そもそも事業承継ってなんでしょうか。

 一般には、事業承継というと株式の譲渡、事業の譲渡、合併などの企業再編、社長の交代などを思い浮かべるかと思いますが、今回の事業承継税制では、次の2つの事業承継に限って、贈与税または相続税の納税猶予を認めることにしています。

 パターン1  先代経営者が後継者に株式をすべて贈与し、かつ先代経営者は役員を退任すること  パターン2  先代経営者が死亡したときに、株式を相続し、かつ後継者が会社の代表者であること  パターン1は、株式を贈与するだけではダメで、先代経営者は役員を退任することが求められます。

 このことから、次のことがみえてきます。

 同族会社とは、株主と経営者が一致した企業であり、このような会社においては、株式の異動と代表者の交代があって始めて事業承継があったといえる。

 これは、相続のときはあまり問題になりませんが、生前に事業承継を行なうときは、例えば息子に株式は譲ったが、しばらくは取締役として会社に残る・・・というやり方は認められないことになります。

 使いようによっては、大変税負担が軽くなる制度ですが、税制が要求する事業承継を行なうのか・・・先ずはその判断が重要となります。

(税理士:白井一馬)