「知」の結集 ゆびすいコラム

2015.06.10

「門前薬局」の将来

「門前薬局」 聞きなれない言葉かもしれませんが、病院やクリニックの「門前」にある薬局のことを指します。

厚生労働省は今月9日、病院の敷地内に薬局を併設することを認める方針を固めました。これまでは「医薬分業」の一環として、病院と薬局を同じ建物や敷地内に併設することを認めない参入規制を省令で定めていました。しかし、薬局の経営の独立性確保を前提に、敷地内に併設する「門内薬局」を認める方針に転じました。

みなさんにも心あたりがあるのではないでしょうか? 医師から渡された薬の処方箋を隣の薬局に持って行こうとしても、フェンスがあって入れず公道まで出さされた。隣なのに、遠いなあ・・・ これは薬局開設にあたって、「出入口は公道に面し、かつ、扉を有すること(大阪市)」といったような、「構造上の独立」を要求する許可基準が有るためです。

しかし、ここに来て利用者の利便性を考えて、「構造面」での独立性は緩和されていくようです。

しかし一方では、薬の飲み残しや重複処方の防止を意図して「かかりつけ薬局」という制度も考えられています。そもそもの医薬分業制度の目的に立ち返ろうという動きでしょうか。

地域包括ケアが求められる中で、薬局のあるべき姿を模索する必要があります。過剰とも言える「門前薬局」が目指すべきは、「門内薬局」か「かかりつけ薬局」か? 今後の厚労省の動向に注意が必要です。

(矢部恭章)