「知」の結集 ゆびすいコラム

2017.07.05

社会福祉法人における資金の貸付け借入れ

厚生労働省の調査によると全国の社会福祉法人はH26年からH27年にかけて4,906施設(うち保育所等(※)は1,071施設)増加しています。

また、福祉医療機構の調査によるとH27年度の赤字割合は21.3%となっております。

厳しい経営環境におかれているのが現状であり、これにより法人内での貸付け、借入れをやむを得ず行っている法人を何件か目にしております。

今回は社会福祉法人における資金の貸付け借入れの制限についてお話したいと思います。

(※)幼保連携こども園、保育所型認定こども園及び保育所

 
同一法人内の事業区分間、拠点区分間又はサービス区分間での資金の一時的な貸借を、繰替使用といいます。

この繰替使用については制限があり、例えば保育所から同一法人の各施設拠点区分、本部拠点区分または収益事業の事業区分への貸付けは法人の経営上やむを得ない場合に、当該年度内に限って(年度内に清算ができる場合に)認められます。

またこの繰替使用の年度内清算は貸付け側、借入れ側によって異なります。

これをまとめた表は以下の通りです。

 
また、上記の年度内清算に加え、年度末の決算時に以下の作業が必須となります。
・資金の貸付けに関する科目の残高を0にする。

・事業区分間及び拠点区分間貸付金(借入金)残高明細書(別紙3(⑤))の作成。

保育園拠点間の貸し借りにおいても上記のような厳しい制限が求められます。
経営状況が苦しいことにより、資金繰りが厳しい拠点もあるかと思います。

こういった場合には、制限の範囲内で繰入れといった手段もございますので一度ご検討下さいませ。

借入れを行った際には、決算時点で返済できなかったということがないように、日頃から返済予定の計画書をつくるなどの対策をしていかなければなりません。

お困りごとやご質問等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

東日本事業部 室田 拓真

教育・福祉事業