「知」の結集 ゆびすいコラム

2022.08.04

粉飾決算のデメリット

時折、粉飾決算について新聞やニュースで見ることがあるかと思います。
粉飾決算とは、不正な会計処理を行い、経営成績や財務状態を実際より過大又は過少に偽装した決算を指します。
 
実際に中小企業でよく行われる粉飾決算は、「赤字を黒字であるように見せかける」ことです。
一般的に黒字となり利益が生じたら、その利益に対する税金を納めなければなりません。
なぜ、納めなくてもいい税金を納めてまで、黒字に見せるという粉飾決算が行われるのでしょうか?
 
それは、金融機関から融資を受けるためのケースがほとんどです。
中小企業の中には、金融機関からの融資を運転資金として依存している企業も数多くあります。
赤字を継続して出してしまうと、金融機関側から金利条件を厳しくされたり、新規貸付けを停止されることもあり、企業を存続する上で死活問題にもなりかねません。
 
しかし、粉飾決算が発覚するとどうなるのでしょうか?
 
金融機関側は提出された決算書により融資を行うかの判断するため、実際には経営成績や財務状態が良くない企業に対し、融資を行うという意思決定をさせてしまう可能性があります。
したがって、粉飾決算により融資を受けた場合には、不当な利益を得たものとして、金融機関に対する詐欺罪が成立する可能性があるのです。
この場合には、刑法により10年以下の懲役が科されます。
 
また粉飾決算により、利害関係者である第三者に被害を与えた場合には、その企業は損害賠償の責任を追うことになります。
 
さらに会計上においても、粉飾決算で生じた利益は、翌期に損失となって生じるため、その損失を隠すために新たな粉飾決算を行うという負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあります。
また、粉飾決算を行うことにより、企業の経営成績や財務状態が実際とは歪まれた数値となってしまい、経営者自身が経営判断を誤らせてしまう可能性もあります。
 
このように、粉飾決算を行うことはリスクが高いものです。
企業を存続するために、金融機関からの信頼を失いたくないという気持ちは理解できます。
しかし、粉飾決算を行うことは一時しのぎにしかならず、一度行ってしまうと元に戻すことは非常に労力が必要となります。
粉飾決算に頼らず、適切な経営判断を下すためにも、適正な決算書を作成することが大切です。
 
大阪支店 中澤 綱介
 
 
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