「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.09.28

計画提出は来年3月まで 個人版事業承継に係る税優遇措置

個人の事業を承継するにあたり、事業用資産の贈与又は相続等に係る贈与税・相続税の納税を猶予又は免除してもらえる制度があります。
この制度を活用するには、まず計画書の策定・提出が必要となりますが、この提出期限が来年3月末と迫っております。
改めて、この制度について確認をしておきたいと思います。
 
【制度内容】
事前の計画策定        :5年以内の個人事業承継計画の提出(2019年4月1日~2024年3月31日)
適用期限           :10年以内の贈与・相続等(2019年1月1日~2028年12月31日)
対象資産           :特定事業用資産
納税猶予割合         :100%
承継パターン             :原則、先代1人から後継者1人(一定の場合、同一生計親族等からも可)
贈与要件           :その事業に係る特定事業用資産のすべてを贈与すること
雇用確保要件         :雇用要件なし
経営環境変化に対応した減免等 :あり(後継者が重度障害等の場合は免除)
円滑化法認定の有効期限    :最初の認定の翌日から2年間
 
【対象資産とは】
事業用資産のうち、下記のものを言います。(前年分の事業所得にかかる青色申告書の貸借対照表に計上されていたものに限ります)
・事業用の宅地等(納税猶予の対象となる面積は400㎡まで)
・事業用の建物(納税猶予の対象となる面積は800㎡まで)
・減価償却資産(固定資産税の課税対象等)
※不動産貸付用の宅地・建物、棚卸資産、事業用の預貯金、売掛金は、特定事業用資産に該当しません。
 
【適用の際の留意点】
①事前の計画策定や認定期限、適用期限に制限があること
②納税猶予される税額及び利子税の合計に見合う担保を提供すること
③申告後にも猶予期間中3年に1回「継続届出書」を税務署へ提出すること(提出を怠ると納税猶予されず、税額の全部と利子税を納付する必要が生じます)
④事業廃止など一定の事由に該当した場合には、納税が猶予されている税額の全部又は一部について利子税を合わせて納付する必要があること
⑤特例事業用資産等はすべて一括贈与する必要があること
 
この制度は、要件や留意点が多くあります。計画書の提出期限が迫ってきていますので、早めにご検討されることをおすすめいたします。
 
医療介護専門部 川西未恵
 
 
教育・福祉事業