「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.12.08

社会福祉法人の業務継続計画(BCP)策定について

2021年の介護報酬改定において、2024年4月から介護施設における事業継続計画(BCP)の策定が義務付けられました。今年度の所轄庁指導監査の際にも話題に上っているのではないでしょうか。
 
(1)BCPとは
 内閣府の事業継続ガイドラインには以下の通り定義づけられています。
「大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)と呼ぶ。 」
 
(2)BCPの背景
 1970年代以降にコンピュータが事業において不可欠になると、情報セキュリティーの一環としてBCPが取り上げられるようになりました。その後2001年9月のアメリカ同時多発テロ時、BCPを策定していたメリルリンチ社が早期に業務再開に至ったことから、欧米ではBCPの導入企業が急増しました。
 日本でも阪神大震災をきっかけに、2005年に「事業継続計画ガイドライン」が内閣府によって定められ、事業継続計画(BCP)に関心を持つ企業が増加しています。そして、昨今の感染症拡大の影響を受け、2021年介護報酬改定において介護事業者のBCP策定が義務化されました。
 
(3)介護施設におけるBCPの目的と防災計画との違い
 BCP策定の主な目的は、
   ①サービスの継続
   ②利用者と職員の身体・生命の安全確保
   ③地域への貢献
 一方、防災計画作成の主な目的は、
   ①利用者と職員の身体・生命の安全確保
   ②物的被害の軽減
 とされています。
 つまり、BCPでは、防災計画の目的に加えて、優先的に継続・復旧すべき重要業務を継続する、または、早期復旧することを目指しています。
 
(4)今後の対応
 まずは厚生労働省のフォーマットにしたがって策定していきます。加えて、事業者様ごとに地域性、事業形態等を考慮して、それぞれ必要な内容を検討して作成を進めて下さい。
 
ゆびすいグループでは、介護事業者様の会計業務だけでなく労務、法務、経営コンサルなど幅広いサービスを提供しています。BCP策定に関してお悩み事やお困りのことがございましたらぜひ一度ご連絡ください。
 
税理士法人ゆびすい 京都支店  林 優花
 
 
教育・福祉事業