「知」の結集 ゆびすいコラム

2024.02.22

退職金を受け取った場合の所得税

 2024年2月16日からいよいよ令和5年度確定申告書の受付が開始されました。今回は、退職金を受け取った場合の所得税について解説いたします。

 退職金の受け取り方には「退職一時金」として一括で受け取る方法と「退職年金」として何年かに分けて受け取る方法の2つがあります。
①「退職一時金」として受け取る方法
 退職金受け取りの際に所得税が源泉徴収されますので、退職所得以外に所得がない場合には原則として確定申告をする必要はありません。この源泉徴収される所得税は、退職金支給日の前日までに「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しているか否かにより変わります。
・提出している場合
 源泉徴収税額=(収入金額-退職所得控除額※)×1/2×税率
  ※退職所得控除額=40万円×勤続年数
 (ただし勤続年数が20年を超える場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」)
 (例)勤続年数が30年の会社員が退職金2,000万円を受け取った場合
    源泉徴収税額=(2,000万円-1,500万円※)×1/2×10.21%≒25万円
    ※退職所得控除額=800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
・提出していない場合
 源泉徴収税額=収入金額×20.42%
 (上記の例の場合、源泉徴収税額=2,000万円×20.42%=408.4万円)
 この場合には確定申告をすることで源泉徴収された金額の一部が還付されます。
 確定申告では退職所得として取り扱われ、「提出している場合」と同様にして所得税を算出します。そのため、差額383.4万円(408.4万円-25万円)の還付を受けることができます。
②「退職年金」として受け取る方法
 受け取った退職金は雑所得として計上されます。
 所得税額=(収入金額-公的年金等控除額)×税率
 (例)65歳の会社員が退職金2,000万円を毎年200万円ずつ10年で受け
   取った場合
   (200万円-110万円)×5.105%≒4.5万円
   となり、10年間で合計約45万円の所得税が発生します。
 
 なお、勤続年数が5年以下の場合は、一時金として受け取る場合の退職所得の計算が上記と異なり、税負担が大きくなりますので、ご注意ください。
 
税理士法人ゆびすい 大阪支店 大林和暉
 
 
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