「知」の結集 ゆびすいコラム

2024.03.11

財産債務調書の見直し

 令和4年度税制改正において、令和5年分以後の財産債務調書制度について見直しがありました。
 財産債務調書は、保有する財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額等を記載し、提出義務者は提出期限までに所得税の納税地の税務署に提出する必要があります。
 
 ①提出義務者の範囲の拡大
 
 改正前は、提出義務者の範囲は、その年の各種所得(退職所得を除く)の金額の合計額が2,000万円を超え、かつその年の12月31日にその合計額が3億円以上の財産又は1億以上の有価証券等を有する方が対象でした。
 改正後は、上記を満たす方のほか、その年の12月31日にその合計額が、10億以上の財産を有する方も対象となり、提出義務者の範囲が拡大されました。
 
②提出期限
 
 改正前は、その年の翌年の3月15日までに提出する必要がありました。
 改正後は、その年の翌年の6月30日までとなり、提出期限が延長されることとなりました。
 
 財産債務調書を提出期限内に提出した場合は、その記載されている財産又は債務に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたとしても、財産又は債務に係る過少申告加算税が5%軽減されます。
 しかし、提出期限までに提出しない場合又は提出した財産債務書に財産又は債務の記載漏れがあった場合に、その財産又は債務に係る所得税の申告漏れがあったときは、過少申告加算税が5%増額されますので、注意が必要です。
 
柳瀬康平
 
 
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