相続財産の中に非上場株式が含まれていれば、財産評価基本通達にしたがって評価します。
この評価方法の一つに類似業種比準方式というものがあります。
これは、上場企業に匹敵するような比較的規模の大きな会社に採用される評価方法で類似する上場企業の平均株価をベースに行ないます。
ある食品メーカであるA同族会社を相続税計算のため評価するとします。
上場している食品メーカー(以下、類似業種といいます)の平均株価が1000円であるとします。
ここで類似業種の1株あたりの年間配当が20円とします。これに対し、A社の年間配当が2倍の40円であれば、配当が大きいA社のほうが魅力的なのでA社の方が価値があるということになり、次の算式が成り立ちます。
1000円(類似業種株価)×40円/20円=2000円(A社の株価)?
株式の価値というのは配当だけでなく、利益や純資産も価値を形成する要素になりますから、仮に、A社の1株当たりの利益が300円に対し、類似業種平均が400円であればA社の価値は、
1000円×300円/400円=750円?
さらにA社の1株当たり純資産が2000円に対し、類似業種平均が2500円であれば、A社の価値は、
1000円×2000円/2500円=800円?
以上???を足して3で割れば、1183円となり、これがA社の評価額となります。
つまり、類似業種の配当・利益・純資産とA社の配当・利益・純資産を用いて、類似業種の株価と比準させた評価をしたわけです。
実際の評価方法は、利益をより重視したりするなど、もうちょっと複雑な計算をしますが、考え方はご理解いただけたかと思います。
(税理士:白井一馬)