「知」の結集 ゆびすいコラム - 医業

2021.08.06

医療機関においてキャッシュ・フローが悪くなる要因と改善策

医療機関において、一般的にキャッシュ・フローが悪くなる要因は次のものが挙げられます。
 
【悪化要因】
①医業未収金の増加
②医薬品等の棚卸資産の増加
③医療機器等の購入
④無理な借入金返済ペース
 
【改善策】
①医業未収金
 特に窓口未収金の増加を防ぐ方法としては、保険証の確認、医療費の事前説明、クレジットカードや電子マネーによる支払い方式の導入が挙げられます。
 金融機関等の診療報酬債権ファクタリングサービス(未収金の売却による早期資金化)の利用も挙げられますが、一長一短あります。一時的な資金繰りの解消は望めますが、手数料が1%前後かかります。長期的な目線で考えた場合、逆に資金繰りが悪化する要因にもなります。
 
②棚卸資産
 院内処方をされている場合は院外処方へ切り替えます。現在は薬価差による利益が少なく、院内処方による収益改善は難しいです。また、院外処方化によって、薬品の購入に係る事務負担等も省くことができます。
 しかし、患者負担は増えるため、医院の方針によって判断する必要があります。
 
③医療機器等
 リースや割賦払いを検討します。支払期間を分割することで資金が安定します。
 しかし、リースによる場合はリース会社が所有権を持つため、リース期間終了後であってもリース料を支払い続けなければなりません。
 
④借入金の返済
 現実的な返済ペースを考慮し、固定資産の耐用年数に応じた借入計画をたてます。
 事業再生を目指す場合は、リスケジュールを銀行と交渉します。
 
医療専門部 大阪支店 山下裕太
 
 
医療機関において、一般的にキャッシュ・フローが悪くなる要因は次のものが挙げられます。

2021.08.02

MS法人運営のメリット・デメリット

 昨今、医療を受ける高齢者人口が増加する一方で、医療従事者の減少が問題となっています。
 今後、医療従事者1人ひとりの負担はますます増えていくことでしょう。
 
 医療従事者に長く働いてもらうためには柔軟に働ける環境づくりが必要です。そして何よりも、病院に魅力のある安定した医療体制が確立されていなければなりません。
 このような状況下において、MS(メディカルサービス)法人の活用が今後より重要になると考えられます。
 
 厚生労働省の報告によればMS法人の活用として多い業態は以下の3つです。
①売店、食堂
②不動産の賃貸
③訪問介護・訪問入浴介護
 この他にも、医薬品・医療機器の販売、医療・経理事務、医業経営コンサルティング、広報・出版、院内清掃など、その活用事例は多岐に渡ります。
 
 それでは、これらMS法人を設立するメリット・デメリットには何があるのでしょうか。今一度、確認していきましょう。
 
 まずメリットとして挙げられるのは、主に以下の4つです。
①医療法人で行えない事業を運営できる
 医療法人は、病院等の業務に支障がない限り、定款又は寄付行為に定めるところにより附帯事業を実施することができるとされていますが、その範囲は非常に限定的です。
 患者や職員が使いやすい施設にするためには多面的なサポートが求められ、そのためにMS法人の活用が欠かせないのです。
②経営の分離
 例えば介護事業をMS法人に移転させるなど、業務の一部をMS法人に移転させることで業務負担を軽減させ、経営・労働環境(就業規則など)を病院と分けることができます。
③法人税軽減税率・交際費損金算入限度額の増加
 出資金の額が1億円以下の医療法人においては、所得(利益)や交際費支出について一定額まで税負担が軽減される措置があります。この制度は法人ごとに適用されますので、MS法人に業務の一部を移転すれば、この枠も自ずと増えることになります。
④消費税負担の軽減
 消費税は課税売上高が1,000万円以下であれば納税義務は生じません。例えばこの状況において病院がMS法人に院内清掃料を支払った場合、病院側ではその消費税相当額が控除でき、MS法人側では消費税の納税義務が発生しないこととなり、消費税の税負担軽減につながります。
 しかし、令和5年から開始されるインボイス制度で、この病院側で控除できる消費税の取扱いが変わりますので、消費税はこの点を踏まえて判断しなければなりません。
 
 そしてデメリットとして挙げられるのは、主に以下の2つです。
①運営コストの増加
 法人を別途運営するということは、登記や社会保険、税務申告等の手続きなども別途行うことになるため、その分の運営コストが増加します。
②主務官庁への取引内容の報告
 平成29年4月以降、一定のMS法人との取引はその内容を主務官庁に報告しなければなりません。報告により適切でない取引が判明した場合は、その契約内容の改善が求められます。
 
 以上がMS法人運営のメリット・デメリットの概要です。
 MS法人の設立・運営を考えられておられましたら、ぜひ弊所医療専門部までご相談ください。
 
医療専門部 大元 誠児
 
 
昨今、医療を受ける高齢者人口が増加する一方で、医療従事者の減少が問題となっています。

2021.04.08

同一労働・同一賃金の実務対応

みなさん、こんにちは。
ゆびすい労務センターの上田と申します。
 
今回は、同一労働・同一賃金の実務対応として定期健康診断についてお伝えします。
 
同一労働・同一賃金は、基本給や賞与など、簡単に判断できない要素が多いですが、通勤手当など、正規にはあるが非正規にはないとした場合、明確にNGとされるものもあります。
 
その一つに定期健康診断があります。
 
もちろん週の労働時間が30時間未満で、法律上の義務がないために受診させないのは構いませんが、問題は非正規でも義務がある場合です。
 
非正規でも対象者には受診してもらっているので問題ないと思われがちですが、ポイントは受診している時間の給与です。
 
多くの事業所では、正規の方は勤務時間内の受診であるにもかかわらず、非正規の方の受診を勤務時間扱いしていないところに問題があります。
 
すなわち、定期健康診断の受診時間が、「正規=給与有り」、「非正規=給与無し」となっており、同一労働・同一賃金の観点からは明確なNGになってしまいます。
 
2021年4月から、すべての事業所が同一労働・同一賃金の対象になっておりますでご注意ください。
 
医療専門部 社会保険労務士 上田 浩志
 
 
今回は、同一労働・同一賃金の実務対応として定期健康診断についてお伝えします。

2021.02.05

定期的な変更登記手続をお忘れなく

医療法人における定期的な登記申請事項としては以下のものがあります。
 
◎役員変更登記 -役員任期毎に必要-
 
医療法人の役員(理事、監事)の任期は就任日から2年以内です(医療法第46条の5第9項)。
※会社等の役員の任期とは異なり、就任してから2年以内に終了する事業年度の定時総会の終結時までではなく、就任してから2年以内です。
Ex:定款で役員任期を2年間と定めている医療法人において、令和3年2月1日に理事に就任した場合→令和5年1月31日に任期満了
 
役員のうち、理事長については登記事項となっているため、理事長が変更した場合にはその旨の登記を申請する必要があります。なお、同じ人が理事長に就任(重任といいます)する場合でも、重任の登記が必要になりますのでご注意ください。
 
理事長が就任または重任した日から2週間以内に登記申請することが必要です。
 
◎資産の総額の変更登記 -毎年必要-
 
医療法人の資産の総額(資産の部の合計-負債の部の合計)は登記事項となっています(組合等登記令f第2条第2項第6号、別表)ので、毎年財産目録(理事長または監事が記名押印したもの)を添付して登記申請する必要があります。
なお、資産がマイナスの場合には、債務超過額も登記されます。
 
この資産の総額については、毎事業年度末日から3か月以内に登記申請する必要があります(組合等登記令第3条第3項)。
 
 
これらの変更登記手続を怠った場合には、20万円以下の過料が科せられる可能性があります(医療法第93条第1号)のでお気をつけください。
 
ゆびすい登記センターでは、医療法人の各種登記申請手続を行っております。
登記懈怠にならないように、上記の様な変更登記手続が必要な際にも定期的にお声がけさせて頂いております。
お気軽にご相談下さい。
 
堂馬 理恵子
 
 
医療法人における定期的な登記申請事項について

2021.01.22

マイナンバーカードが健康保険証として使用可能に

 マイナンバーカードを健康保険証として利用できるサービスが2021年3月から開始予定です。サービス開始後は健康保険証を持ち歩かなくても、マイナンバーカード一つで、医療機関・薬局の利用ができるようになります。
 従来の健康保険証であれば転職や就職、引越しの都度に保険証の切替が必要でしたが、マイナンバーカード導入後は切替の手間もかからず、住所等変更後、新しい保険証発効前であっても、健康保険証付きマイナンバーを利用することで、医療診療を自己負担のみで受診することができます。
 マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関や薬局は、厚生労働省・社会保険診療報酬支払機関のホームページに公開予定です。一方、導入した医療機関等ではポスターを掲示することで患者さんに通知する予定となっています。
 導入した医療機関・薬局では、受付方法も変わります。現在は窓口での対人受付を行っている医療機関が多いですが、今後は顔認証付きカードリーダーを利用することにより受付が自動化されます。顔認証付きカードリーダーでの受付方法は、マイナンバーカードの裏面にあるICチップから顔認証データと窓口で撮影した本人の顔写真を照合して本人確認を行うか、暗証番号を入力することで本人確認を行い受け付けを行いますので、スムーズな受付が期待できます。
 サービスの受付は既に開始されており、パソコンや携帯からマイナポータルにログインし、健康保険証利用の申し込みをすることで利用できます。さらに2021年10月からは、マイナポータルから薬剤情報・医療費情報の閲覧が可能になり、2021年の所得税の確定申告からはマイナポータルを通じて医療費控除を自動入力することができる予定です。今後もマイナンバーカードの活用が広がっていきそうですね。
 
高瀬公子
 
 
マイナンバーカードを健康保険証として利用できるサービスが2021年3月から開始予定です。サービス開始後は健康保険証を持ち歩かなくても、マイナンバーカード一つで、医療機関・薬局の利用ができるようになります。

2020.12.03

医療機関でも使える優遇税制

資産取得の際に適用できる特別償却又は税額控除を認める制度のうち、医療法人でも適用できる制度について、どのような資産を購入した場合に適用できるかに重点を置いてお伝えいたします。
 
◆特別償却・税額控除(要件有)が選択可能な制度
1.中小企業投資促進税制
<メリット>
 取得価額×30%の特別償却or取得価額×7%の税額控除(出資持分のある医療法人の場合、出資金額3,000万円以下に限る)
<対象資産の要件> 取得価額70万円以上のソフトウェア
2.中小企業経営強化税制
<メリット>
取得資産の即時償却or取得価額×10%の税額控除(出資持分のある医療法人の場合、出資金額3,000万円超1億円以下であれば7%)
<対象資産の要件> 
①取得価額70万円以上のソフトウェア
②取得前に工業会証明書の取得(A類型資産)または投資計画に関する経済産業局に応じた確認(B類型)をした資産
③経営力向上計画の作成をした資産
※2020年5月に制度が拡充され、新たにデジタル化設備(C類型)も対象になりました。こちらは、事前に経済産業局による「デジタル化設備に関する確認書」の取得が必要となります。
 
◆特別償却が認められている制度
1.医療用機器等の特別償却制度
<メリット> 取得価額×12%の特別償却
<対象資産の要件>
①直接医療の用に供される機械・装置・器具備品
②一台の取得価額が500万円以上
③高度な医療の提供に資するものとして厚生労働大臣が指定するものまたは、高度管理医療機器等または一般医療機器として厚生労働大臣が指定したもの
2.勤務時間短縮用設備の特別償却制度
<メリット> 取得価額×15%の特別償却
<対象資産の要件>
①器具備品及び取得価額30万円以上のソフトウェア
②医療勤務環境改善センターの助言を受け作成し、都道府県による確認を受けた医師等勤務時間短縮計画に基づき取得した資産
 
上記の制度はいずれも医療機関が利用する場合は、対象資産の範囲が狭かったり対象資産の金額が高額であったりと必ずしも利用しやすい制度とは言えません。
だからこそ要件に当てはまる場合は積極的に利用するべきです。
中には事前の準備が必要な制度もあるので、資産を購入する場合は検討時にぜひご相談ください。
 
医療専門部 大阪OF 税理士 高瀬公子
 
 
資産取得の際に適用できる特別償却又は税額控除を認める制度のうち、医療法人でも適用できる制度について、どのような資産を購入した場合に適用できるかに重点を置いてお伝えいたします。

2020.11.19

新型コロナウイルスと医療費控除

 年明け後の確定申告に向けて、国税庁より新型コロナウイルス感染症に関連する医療や予防行為について、医療費控除の対象の可否についてFAQが公表されました。
 
医療費控除については、患者からの問合せへの対応があったり、ホームページへ自院の医療行為等が医療費控除に該当するかどうかを記載することがあると思います。
 その場合には、信頼を損なわないための適切な回答、記載が必要となりますので注意してください。
 
1、マスク購入費用
 感染予防となるものであるため、医療費控除の対象外
 
2、PCR検査費用
 医師の診断によりPCR検査を受けた場合は、医療費控除の対象
 ただし、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限られるため、公費負担により行われる金額については、対象外。
 なお、自己の判断によりPCR検査を受けた場合は、医療費控除の対象外となります。これは、そもそも、医療費控除の対象となる医療費が、「医師等による診療や治療のために支払った費用」が対象の1つであるためです。
 ややこしいところでは、自己判断でPCR検査を受けた結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合は、その検査費用は医療費控除の対象となります。
 
3、オンライン診療に係る諸費用
 ①オンライン診療料  医療費控除の対象
 ②オンラインシステム利用料 医療費控除の対象
 ③処方された医薬品の購入費用 医療費控除の対象
 ④処方された医薬品の配送料 医療費控除の対象「外」
 
土屋 英則
 
 
年明け後の確定申告に向けて、国税庁より新型コロナウイルス感染症に関連する医療や予防行為について、医療費控除の対象の可否についてFAQが公表されました。

2020.10.19

インフルエンザ予防接種の無償実施!気を付けるポイントは?

 大阪府において、高齢者向けにインフルエンザ予防接種の無償実施が始まっています。
 (他の一部自治体においても始まっています)
 
 吉村知事が9月9日の定例会見で挙げたこの制度の目的は2つ。
①新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの併発による高齢者の重症化を防ぐこと
②両感染症患者の増加に伴う医療提供体制のひっ迫を防ぐこと
 
▽対象者は?
・65歳以上の方
・60歳~64歳で身体障害者手帳1級(心臓・腎臓・呼吸器・免疫不全に限る)の方
 ※予防接種は任意です。
 
▽実施期間は?
 10月上旬~令和3年1月31日(日)
 
 この制度により、重症化リスクの高い高齢者へのワクチン接種は所得制限もなく全額無償化。無償実施の利用のしやすさと、コロナ禍における危機意識が高まりが相まって、現在インフルエンザの予防接種を受けられる高齢者の方が急増しています。
 
 市と委託契約を結んだ医療機関においては、無償実施による予防接種代金が各市から入金されます。ここで注意したいのが、予防接種が消費税法上の課税取引であるということ。
 
 医療機関特有の課税取引は、予防接種の他にも自由診療、健康診断、診断書発行料などがあります。医療機関によっては、この制度の影響により、これら課税取引となる収入が年間1,000万円を超え、2年後に消費税の課税事業者に該当する、ということも考えられますので、収入金額には目を配っていきたいですね。
 
 上記消費税の取扱い等でご不明点がございましたら、ぜひ弊所の医療専門部にご相談ください。
 
医療専門部 大元 誠児
 
 
大阪府において、高齢者向けにインフルエンザ予防接種の無償実施が始まっています。(他の一部自治体においても始まっています)

2020.10.08

医療機関における窓口未収金の発生防止ポイント

1.はじめに
 窓口未収金発生の要因は、所持金不足や意図的な不払い、保険資格喪失後の受診や会計時の誤計算など、様々な理由があります。一方で発生した窓口未収金を回収するには、多大な労力を要するだけでなく、回収自体が困難なケースも少なくありません。
 つまり、未収金対策は回収率の向上よりも発生防止策の方が重要です。今回は、具体的にどのような方法が効果的であるか、ポイントを3つご説明したいと思います。
 
2.防止策のポイント
(1)保険証の確認
 医療保険の受給資格の有無を確認するために、患者に保険証の提示を求めることは最も基本的であり、かつ重要な予防策です。
 初診時や定期通院患者の保険証の確認は、いずれの医療機関においても取り組まれている対応だと思われます。しかし、患者が保険証の持参を忘れるなど結果的に確認を怠ってしまうケースも珍しくありません。
 こうした状況を含め、一定期間保険証の確認ができない場合は、医療費の全額をいったん支払っていただくことも検討する必要があります。
 
【具体例(保険証の取り扱いに関する院内ルール)】
①毎月初診時に保険証の提示を求め、コピー※をとって保管
 ※個人情報に該当するため、患者から適切な同意を得ておくことが必要
②連続して3ヶ月以上保険証の確認できない患者には、いったん医療費全額の支払いを求める
③②の際、請求総額に満たなくても最低5千円~1万円は預かる
④保険証を確認後、保険給付分を払い戻す
 
(2)医療費の事前説明
 患者は、医療サービスの提供を受けた後で医療費の総額を知らされることが多いため、診療内容に納得がいかず支払いを拒否するケースがあります。また、不用意に概算を伝えることも支払い時のトラブルを招く可能性があるため、慎重になる必要があります。
 そこで、患者負担金が特に高額となる検査項目別や手術別に一覧表を作成し、事前に患者へ説明することが有効です。また、高額療養費制度を利用するなど、多額の医療費であっても支払い方法を医療機関と患者双方で模索し、未収金発生の予防に努めることが重要です。
 
(3)クレジットカード、電子マネー等による支払い方式の導入
 ■患者側のメリット
  ・現金の持ち合わせがなくても受診できる
  ・ポイントが貯まる
 ■医療機関側のメリット
  ・窓口未収金の発生を抑える
  ・会計待ち時間の短縮、業務効率化
  ・他の医療機関との差別化
 一方で、医療機関のデメリットとしては利用に際して手数料が掛かることです。手数料を3%とし保険の窓口負担を3割とした場合、実際は売上全体の0.9%の負担になります。
 
3.最後に
 窓口未収金の発生要因には、未然に防ぐことができるものだけではありません。しかし、少額の未収金であっても、積み重なると経営面へ影響してきます。地域性や規模に応じて対応方法も異なると思いますが、お困りの際はお気軽にご相談ください。
 
医療専門部 大阪OF 山下裕太
 
 
窓口未収金発生の要因は、所持金不足や意図的な不払い、保険資格喪失後の受診や会計時の誤計算など、様々な理由があります。一方で発生した窓口未収金を回収するには、多大な労力を要するだけでなく、回収自体が困難なケースも少なくありません。

2020.09.18

MS法人で居住用マンションを建てても消費税が還付されない!?

ゆびすいの医療専門部では、毎月、事例研究をしていますが、そのなかでも議題によくあがるのはMS法人の活用方法です。
MS法人は、昔に比べると消費税が増税されたことに伴って、メリットがなくなりつつあります。そんな中、追い打ちをかけるように令和2年度の税制改正がありました。それは、「居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除の見直し」です。
 
1、なぜ見直しされたのか?
 改正前は、いわゆる「金・地金による消費税還付スキーム」が横行していました。
このスキームは、一括比例配分方式で計算している法人が金・地金の売買を繰り返すことで還付を受けようとする課税期間の課税売上割合を高くした結果、仕入税額控除の金額を増やし、還付額を増加させていました。実際、金・地金の売買は、本来業務の不動産賃貸業とは関係がなく、課税売上割合の数字の操作のためだけに取引されるという不自然さがありました。このスキームにストップをかけたのが令和2年度税制改正です。
 
2、改正内容
(1)内容
 ①高額特定資産(取得価額が1,000万円以上)に該当する居住用賃貸建物に係る課税仕入れについては、仕入税額控除ができなくなります。
 ②課税仕入れの日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの間に住宅の貸付以外の用途に変更した場合または譲渡した場合には、一定の金額を、変更または譲渡した日の属する課税期間の仕入税額控除に加算します。
 ③ただし、住宅の貸付の用に供しないことが明らかな部分(店舗用や事務所用)については、仕入税額控除が認められます。
(2)施行開始時期
令和2年10月1日以後に居住用賃貸建物の課税仕入れを行ったときから適用されます。ただし、令和2年3月31日以前に契約が締結され、引き渡しの日が同年10月1日以後である場合は適用されません。
 
3、MS法人の活用方法
 以上をもって、令和2年10月1日以後に居住用マンションの課税仕入れを行ったとしても、住宅の貸付部分は仕入税額控除が行えなくなりました。ただし、居住以外の用途(店舗や事務所用)として貸付ける部分は仕入税額控除ができます。今後のMS法人の活用方法としては、マンションではなく、店舗が入るような賃貸建物を建設する不動産投資が増えていくことが予想されます。
 
医療専門部
堺OF 吉村 隆宏
 
 
ゆびすいの医療専門部では、毎月、事例研究をしていますが、そのなかでも議題によくあがるのはMS法人の活用方法です。MS法人は、昔に比べると消費税が増税されたことに伴って、メリットがなくなりつつあります。

2020.09.11

クリニックの売上アップについて

 この記事は「最近患者数が減っており収入が落ち込んできた」「なんとかしたいけど何から始めたらよいかわからない」と思ってらっしゃる先生に、悩みに対する解決へのヒントになればと思い書きました。
 前提として一人医師を想定した売上アップについて考えたいと思います。
 
 まずクリニックの売上要素は何でしょうか? 
 患者数×診療単価×再来院頻度×診療日数 これがクリニックの売上要素になります。
 例:40名×5,000円×1ヶ月に一回×月20日=4,000,000円売上となります。
 
 仮に診療日数以外の3要素をそれぞれ1.1倍、1.2倍にするとどうなるでしょうか?
 ・1.1倍 → 44名×5,500円×1.1回×20日=5,324,000円 33%の売上げアップ
 ・1.2倍 → 48名×6,000円×1.2回×20日=6,912,000円 72%の売上アップ
 となります。
 各要素について、どういった方法で増やせるのかを考えていきたいと思います。
 
患者数を増やすには?
 ①広告を打つ
  新規の方には、必ず何がきっかけで来院されたのか、確認が必要です。
  そうしないと広告を打った場合の効果が測定できません。
  ・Googleマイビジネスで、医院の情報+医院のHPリンクなどで情報を充実させる
  ・HPを充実させる、看板広告など
 ②患者様に優しい仕組みを作る
  ・オンライン予約システムの導入
  ・予約時間が表示され、待ち時間がわかる状態にする
  ・自動精算機による精算
 ③患者様に直接聞く(特に最近来られなくなったお客様に、なぜ来なくなったのか)
  ④院長やスタッフがブログなどで情報発信を行う。
  (開業の経緯、スタッフの思い、スタッフの紹介や、患者様からよく聞かれること、先生の趣味など)
 
診療単価を上げるには?
 ①処置、検査、加算が算定適切に出来ているかの確認を行う。
 ②請求漏れが発生していることが多いので、漏れがないかの確認を行う。
 
再来院頻度を増やすには?
 ①患者様との信頼を構築する。
 ②再受診の目安をしっかり伝える → その後、再受診がない場合は電話する。
 
色々お伝えしましたが、そもそも大前提としてクリニックを経営する上で一番重要なことは何でしょうか?
 私は「親切丁寧であること」が一番重要だと思っています。
 
親切丁寧であることを基軸に、どうすればより親切丁寧にできるか、どうすれば親切丁寧だったと思ってもらえるかを、考えて行動していければ、自ずと解決するかと思います。
 
親切丁寧であるということはどういうことなのかを考える際に、一つのヒントとして、あえて親切丁寧でないクリニックを考えてみてから、その逆を考えてみても良いかもしれません。
 
お悩みの先生がいましたら、ぜひ医療専門部までご連絡ください。
 
医療専門部
 
 
この記事は「最近患者数が減っており収入が落ち込んできた」「なんとかしたいけど何から始めたらよいかわからない」と思ってらっしゃる先生に、悩みに対する解決へのヒントになればと思い書きました。

2018.08.09

平成30年8月から70歳以上の高額療養費の上限額が変わります

この8月(2018年)8月より、所得の高い高齢者において下記の引き上げが行われます。
*医療保険の高額療養費自己負担限度額
*介護保険の自己負担割合
 
その中でも、高額療養費については、70歳以上の高齢者における自己負担額上限額が、2017年8月に1段階引き上げられ、今年8月にもう1段階引き上げられることになりました。今回は、現役並み所得区分を細分化した上で限度額を引き上げ、一般区分についても外来上限額を引き上げました。
 

表で赤く囲っている区分の方については、「限度額適用認定証」を窓口へ提出することで、自己負担限度額までの支払いとなります。提出しなくても後から払い戻されますが、一時的な支払いを避けたい方は交付申請を検討してみてはいかがでしょうか。
 
税理士・医業経営コンサルタント 矢部恭章
 
 
この8月(2018年)8月より、所得の高い高齢者において下記の引き上げが行われます。*医療保険の高額療養費自己負担限度額*介護保険の自己負担割合

2018.07.25

医療法人の決算届

 医療法人の平成29年4月2日以後に開始する事業年度の決算届では、提出書類が異なるので注意が必要です。
 
 【提出書類】
 ・決算届鑑文(表紙)
 ・事業報告書
 ・財産目録
 ・貸借対照表
 ・損益計算書
 ・関係事業者との取引の状況に関する報告書
 ・監事監査報告書
 となっており、「関係事業者との取引の状況に関する報告書」が追加となっています。
 
 医療法人は、毎会計年度終了後3か月以内に決算書の届出が義務となっており、違反した場合は、過料に処分されることがあります。提出書類・様式も変更されているので余裕をもって作成することが望ましいです。
 
 
 また、理事会・社員総会で承認された決算関係書類は、その後、次のように外部へ情報公開されることになります。
 
 1、事業報告書等及び監事監査報告書は、医療法人の事務所に備えて置き、社員、評議員又は債権者から請求があれば、正当な理由がある場合を除いて閲覧に供しなければなりません。(医療法第51条の4)
 
 2、都道府県へ提出された事業報告書等、監事監査報告書及び定款(寄附行為)は、希望者に対し、都道府県において閲覧に供されます。(医療法第52条第2項)
 
 備え置き閲覧に供する決算関係書類、都道府県へ提出する決算届に不安がありましたら、お気軽にゆびすいの医療介護専門チームにご相談ください。
 
税理士 土屋 英則
 
 
医療法人の平成29年4月2日以後に開始する事業年度の決算届では、提出書類が異なるので注意が必要です。

2018.01.30

社会医療法人・特定医療法人の認定要件の見直し

昨年12月14日に平成30年度税制改正大綱が発表されました。

このうち医療法人に関係の深いところとして、「社会医療法人・特定医療法人の認定要件の見直し」があります。

公益性の高い「社会医療法人」「特定医療法人」「認定医療法人」では、◆全収入金額に占める社会保険診療報酬等に係る収入金額が100分の80を超えること◆という要件が課せられています。

ただし、この「社会保険診療報酬等」の考えが、各法人形態で異なっていました。

【改正前の社会保険診療報酬等の範囲 (平成30年度 主な税制改正要望の概要より抜粋)】

今回の改正で、各法人形態の社会保険診療報酬等の範囲が「認定医療法人」の考え方に統一化されます。とくに介護保険法の保険給付による収入が含まれず、範囲の狭かった「社会医療法人」「特定医療法人」においては、要件が緩和された形となります。

利用者に対する切れ目のない医療・介護の提供体制に税制面も追いついた改正だと考えられます。

税理士 土屋 英則

昨年12月14日に平成30年度税制改正大綱が発表されました。このうち医療法人に関係の深いところとして、「社会医療法人・特定医療法人の認定要件の見直し」があります。

2017.08.01

出資持ち分評価の改正

平成29年度税制改正により、取引相場のない株式(出資)の評価方法が見直されました。

経過措置医療法人で主に影響を受ける点は、次の3項目となります。

①類似業種の上場会社の株価の選択については、課税時期の属する月以前2年間平均が加えられます。
②類似業種の利益金額及び簿価純資産の比重は、1:1とします。

③規模区分(大会社、中会社、小会社)を判定する際の純資産価額、従業員数、取引金額の金額等を見直しました。

特に影響が大きい項目は②の比重割合の改正です。

そもそも、経過措置医療法人の出資金計算上の類似業種比準価額は、上場会社の株価(その他の産業)に、上場会社の「利益」と「純資産価額」を評価対象医療法人のそれと比較して算出した比準割合を乗じ、さらに法人規模に応じた係数を乗じて算定します。

この比準割合は、(利益要素×3+純資産要素)÷4 で算出していました。
これが改正により、(利益要素+純資産要素)÷2とし、、それぞれの要素を均等にしました。
改正後は、利益水準が高い医療法人の評価額は低くなりますが、利益水準が低いが純資産は潤沢な医療法人の評価額は逆に高くなってしまいます。

そのため、法人の状況次第で出資金に対する相続税・贈与税の負担に大きな影響があります。

6月に平成29年分の類似業種の株価表が公表されたので、改正による影響を計算してみるとともに、これを機会に「医業継続に係る相続税、贈与税の納税猶予」を検討してみてはいかがでしょうか?

(税理士・医業経営コンサルタント 土屋英則)

平成29年度税制改正により、取引相場のない株式(出資)の評価方法が見直されました。経過措置医療法人で主に影響を受ける点は、次の3項目となります。

2017.03.15

認定医療法人制度の延長と改正

平成29年度税制改正大綱に、「医業継続に係る相続税、贈与税の納税猶予の延長」が掲げられました。

いわゆる認定医療法人制度の延長です。

この法律は、平成26年10月1日から平成29年9月30日までの間の時限措置でしたが、平成28年9月30日までの2年間で、わずか61件しか認定されていません。

みなし贈与税が非課税になるためのハードルが高かったため、認定数が伸びなかったものと考えられます。

今回は、それを受けて制度自体の延長と要件緩和が掲げられています。
このため、法案が通った場合は、持分なし医療法人への移行策として非常に有用なものとなるでしょう。

弊社でも引き続き研究し、対応して参りますので、お気軽に相談していただければと思います。

<主な変更点>
・認定期間の3年延長
・理事6人、監事2人以上で、親族は1/3以下にしなければならない→撤廃
・医療機関名が地域医療計画へ記載されていること→撤廃
・運営の適正性要件(法人関係者に利益供与しないこと、役員報酬について不当に高額にならないこと、社会保険診療に係る収入が全体の80%以上など)を、

認定後6年間要件を維持していることを確認する

税理士・医業経営コンサルタント 矢部恭章



平成29年度税制改正大綱に、「医業継続に係る相続税、贈与税の納税猶予の延長」が掲げられました。いわゆる認定医療法人制度の延長です。

2016.12.06

厚生労働省の税制改正要望(医療)

平成29年度税制改正が12月に公表されます。

厚生労働省が医業税務関係の改正要望で上げているものとして、

⑴(検討)医療に係る消費税の課税のあり方の検討
⑵(検討)医療機関の設備投資に関する特例の創設
⑶(延長)高額な医療用機器に特別償却制度の延長
⑷(延長)医業継続に係る相続税、贈与税の納税猶予の延長等
⑸(新規)地域に必要な医療を担う医療機関の事業継続に関する税制の創設
⑹かかりつけ医機能及び在宅医療の推進に係る診療所の税制措置の創設
 があげられます。
 

⑴の消費税の損税問題への対応や、⑷の医療法人の出資持ち分問題は医業経営者にとって大きく影響があり関心の高いものです。

また、持ち分放棄の大きな支障となっている医療法人への贈与税課税も非課税とする要望内容となっています。

これから発表される税制改正大綱にどこまで反映されるか注目です。

税理士・認定医業経営コンサルタント 土屋英則

平成29年度税制改正が12月に公表されます。厚生労働省が医業税務関係の改正要望で上げているものとして、次の6つがあります。

2016.09.07

医療法人会計基準

平成28年4月20日に、厚生労働省より、「医療法人会計基準」の取扱いが公表され、「医療法人会計基準」の適用が義務付けられることになりました。

中規模以上の医療法人が対象となりますが、具体的には次の法人です。

①一般の医療法人のうち、負債額50億円以上または収益額70億円以上
②社会医療法人のうち、負債額20億円以上または収益額10億円以上
③社会医療法人債発行法人である社会医療法人

医療法人会計基準は、平成29年4月2日から施行され、同日以後に開始する会計年度から適用されます。
3月末決算の場合は、平成31年3月期から強制適用となり、
4月末決算の場合は、平成30年4月期から強制適用となります。

さらに、上記①~③に該当する医療法人については、
公認会計士による外部監査も義務付けられることになりました。計算書類の公告(官報、日刊新聞紙またはホームページでの公開)も必要です。

これまでは、医療法人全体の数値が行政への報告対象となっているものの、
医療法人全体を対象とする会計基準は存在していませんでした。

そのため、「病院会計準則」「介護老人保健施設会計・経理準則」「企業会計基準」により会計処理を行ってきましたが、3月末決算法人であっても、平成30年4月から「医療法人会計基準」により、会計処理を行う必要がありますので、早期の準備が必要です。
導入にあたって不安なときは、お気軽にゆびすいの医療介護専門チームにご相談ください。


税理士・医業経営コンサルタント 高田祐一郎

 

平成28年4月20日に、厚生労働省より、「医療法人会計基準」の取扱いが公表され、「医療法人会計基準」の適用が義務付けられることになりました。中規模以上の医療法人が対象となりますが、具体的には次の法人です。

2016.07.25

社会医療法人の認定状況

 平成28年7月1日現在の社会医療法人の認定状況が厚生労働省より発表されました。
 同日における社会医療法人の数は268件と、直近で発表された3月31日時点より6件増加しておりました。
 社会医療法人制度は、平成19年4月よりスタートし、法人数は年々増加しています。

 この制度は、要件を満たした医療法人が、都道府県知事に申請し、調査の結果、認定が下りた場合に社会医療法人となることができます。
 社会医療法人は、公益性の高さから、厳しい基準が設けられていますが、それをクリアーできると様々なメリットを受けることができます。

【メリット】
・医療保健業は、法人税が非課税
・救急医療等確保事業にかかる固定資産税、不動産取得税が非課税
・収益事業の実施が可能
・社会医療法人として登記されることによる公益的なイメージ
・出資持ち分の放棄に伴う、経営の永続性の確保
・出資持ち分の放棄に伴う、相続税の節税

【デメリット】
・認定取り消し時の法人税の累積課税
・同族経営の排除
・出資持ち分の放棄により、解散時の分配がなくなる
 国としては、医業の永続性確保の観点から出資持ち分放棄を促すため、平成26年10月より認定医療法人制度を創設しました。認定医療法人制度は、出資持ち分に対する相続税や贈与税の課税を猶予し、のちに出資持ち分を放棄した場合に猶予税額を免除する制度です。

 医療法人出資者の相続税や贈与税の課税を検討することを機に、出資持ち分の放棄を検討される方も多いかと思います。
 出資持ち分の放棄を進めるにあたって、社会医療法人への移行も検討に入れてはいかがでしょうか?

  税理士・医業経営コンサルタント 土屋 英則
 

平成28年7月1日現在の社会医療法人の認定状況が厚生労働省より発表されました。

2016.06.10

介護療養病床の行方

介護療養病床と25対1医療療養病床(正確には看護配置4対1を満たさない医療療養)は2017年度末(2018年3月)で設置根拠となる経過措置が切れます。
                                                                   このため、20対1医療療養や介護老人保健施設への転換が期待されていますが、思うように進んでいません。そこで厚労省は、介護療養などの実態や求められる機能に着目した「新たな移行先」を模索しています。
新たな移行策については、「療養病床の在り方等に関する検討会」が今年(2016年)1月に次の3類型を提案しています。

【案1-1】医療の必要性が「比較的」高く、容体が急変するリスクのある高齢者が入所する「医療内包型の医療提供施設」

【案1-2】医療の必要性は多様だが、容体が比較的安定した高齢者が入所する「医療内包型の医療提供施設」

【案2】医療の必要性は多様だが、容体が比較的安定した高齢者が入所する「医療外付け型」(病院・診療所と居住スペースの併設型)

制度設計論議は、社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」で行われています。2016年末に結論を出すことになってはいますが、検討時間は限られています。

当初は2011年度末に廃止する予定でしたが、介護療養から他施設への転換が十分に進んでいないとして、2017年度末に延長されていたものでした。
再延長もあるかもしれません。今後の動向に注目です。

矢部 恭章

 

介護療養病床と25対1医療療養病床(正確には看護配置4対1を満たさない医療療養)は2017年度末(2018年3月)で設置根拠となる経過措置が切れます。

2016.06.08

医療法人の外部監査義務化

 第7次医療法改正では、

 ①地域医療連携推進法人制度の創設

 ②医療法人制度の見直し

 ・経営の透明性の確保(外部監査の導入など)
 ・ガバナンスの強化
 ・医療法人の分割制度の創設
 ・社会医療法人の認定に関する見直し

 が主な内容となっています。
 詳細は、平成28年5月19日に厚生労働省医政局医療経営支援課より「医療法の一部を改正する法律について」で公表されました。
 改正のうち、外部監査については「負債50億円以上又は収益70億円以上の医療法人、負債20億円以上又は収益10億円以上の社会医療法人は、医療法人会計基準に従い、貸借対照表及び損益計算書を作成し、公認会計士等による監査、公告を実施しなければならない」となりました。
 医療法人会計基準の導入や会計監査対応など、今まで以上に医療法人の経営管理業務が複雑になることが想定されます。
 施行日は、平成29年4月2日と1年を切ってしまっています。

 会計基準の導入、監査法人等の契約など早急な対応が必要になろうかと思います。



 土屋 英則

 

平成28年5月19日に厚生労働省医政局医療経営支援課より「医療法の一部を改正する法律について」で公表されました。

2016.04.15

大病院外来の「紹介外来」、「専門外来」特化による初診料改定

 平成28年4月1日より中小病院・診療所などの紹介状のない患者が大病院を受診する場合、初診については5,000円(歯科は3,000円)、再診については2,500円(歯科は1,500円)を最低金額(医療機関が個別に上限を設定可能)として、窓口負担の徴収が義務化されました。

これは中小病院・診療所は、地域医療の窓口としての機能が求められ、大病院は、中小病院・診療所からの紹介に応じて、重い病気や深刻なけがのためにより高度かつ専門的な医療サービスを必要とする患者を受け入れるという、
①医療機関の分化や、②大病院の勤務医の負担軽減、③将来の地域医療構想などが背景に有ります。

また、大きな目標として、地域包括ケアシステムの構築を目的としています。
高齢化で増え続ける医療費を削減するため、政府は2025年時点の病院ベッド(病床)数を115万~119万床と、現在よりも16万~20万床減らす目標があります。
その受け皿として自宅での在宅医療や、自治体による生活支援や介護施設などの住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、地域の中小病院・診療所などを、かかりつけ医として認知してもらうことも今回の改定の背景に挙げられます。

様々な環境の中で、政府が大きな流れを作りそれに沿って少しずつ医療制度が変わっていきます。
今私たちができることは健康を保つことです。将来健康でいるために、みなさまも明日からできることを少しずつしてみませんか?

稲田 光浩
平成28年4月1日より中小病院・診療所などの紹介状のない患者が大病院を受診する場合、窓口負担の徴収が義務化されました。

2016.03.11

医療法人の出資持分の贈与

確定申告も残すところあと一週間になりました。
みなさま今年の贈与税の申告はお済みでしょうか?

すでに申告がお済みの方はお気づきだと思いますが、今年は2点ほど例年と異なることがありました。
1点目は、出資持分評価をする際に用いる類似業種比準価額です。当初、平成27年に使用できる類似業種比準価額(H26平均)は、アベノミクス効果のため高くなることが予想されましたが、実際は異なりました。

[類似業種比準価額]~業種目「118 その他の産業」~
平成26年平均 248円
平成25年平均 446円
平成24年平均 196円
平成23年平均 200円

それは、医療法人が、類似業種の分類上「医療・福祉」ではなく、「その他の産業」に分類されるからです。
「その他の産業」は、毎年標本会社が変わるため予測が困難です。まだ27年の平均は発表されていませんが、どうなるのでしょう?

2点目は、27年の贈与より「20歳以上の者が直系尊属より贈与を受けた」場合、通常の税率より低い特例税率が適用されることです。
相続税の増税と対をなす贈与税の減税策です。相続税対策には非常に有効だと考えますので、27年に考慮し忘れた方は今後お気を付けください。

また、この改正は、戸籍謄本など条件を満たすことを証する一定書類を添付する必要があります。本籍地が遠く取得までに時間が掛かる方は注意が必要です。



(矢部恭章)
 

確定申告も残すところあと一週間になりました。みなさま今年の贈与税の申告はお済みでしょうか?

2016.03.04

医療機関の損税問題

 平成29年4月から消費税率が10%にあがり、食料品等については軽減税率が導入されることとなってます。


消費税の改正に当たって、食料品などの軽減税率に関する報道は頻繁にとりざたされていますが、医療に関する消費税については特段話が出ることはありません。


それは、社会保険診療については消費税導入当初から非課税とされており、昨今の税制改正にも非課税の取扱いを変更するような案は出てきていない状況だからです。


この非課税ということが、実は医療機関経営に大きな影響を及ぼしています。いわゆる「損税問題」というものですが、簡単にいうと、医療機関が医療材料などを仕入れたときに支払う消費税が払いっ放しになってしまっている、ということです。


株式会社などであれば、仕入に係る消費税は税務署から返してもらうことができます。(厳密には、売上に係る消費税と相殺します。)

しかし、医療機関では、売上のほとんどが非課税であることから、売上に係る消費税がなく、仕入に係る消費税が相殺できない状況になってしまっています。

これにより、医療機関の消費税負担は重くなり、経営を圧迫することになっています。医療機関の運営を考慮して、消費税率の改定時には、診療報酬のプラス改訂という形で、国は対応してきました。しかし、度重なるマイナス改定があった経緯を踏まえると、消費税率の増税分が、本当に診療報酬に上乗せされているかは疑問が残ります。


日本医師会からは、解決策として
①免税制度の導入(0%税率の導入)
②軽減税率の導入(医療も課税だが軽減税率とする)
③普通税率の導入と医療に係る消費税相当を所得税から控除する給付付き税額控除の導入
などを提案しています。


また、厚生労働省からの税制改正要望においても、医療機関の消費税のあり方について明確化を図ろうとする表明がなされています。
 医療や介護は、国民にとってなくてはならないもの。医療機関の経営の安定化を図るためにも、消費税の「損税問題」の解決が望まれます。



土屋 英則

 

 平成29年4月から消費税率が10%にあがることとなっていますが、医療に関する消費税については特段話が出ることはありません。それは、社会保険診療については消費税導入当初から非課税とされており、昨今の税制改正にも非課税の取扱いを変更するような案は出てきていない状況だからです。