この度の令和6年能登半島地震で被災された皆様に、
心よりお見舞い申し上げますとともに、
被害に合われた皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
2024年1月7日の日本経済新聞の記事に、能登半島地震を特定非常災害に指定す
る方針である旨が記載されていました。
「特定非常災害」とは、規模が大きく死者や住宅の倒壊が多数出ている災害に
ついて、国が法律に基づいて指定するものです。指定された場合は、運転免許証
の有効期間が延長されたり、半壊以上の家屋の解体費用が補助されたりと、被災
者を救済するための特例措置が適用されます。
今回は、その特例措置のうち被災した場合の税金の取扱いについてご紹介しま
す。
被災による損失額は、その年度の所得と相殺することにより、税金を抑えるこ
とができます。
さらに、損失額がその年度の所得金額を上回る場合には、その上回る金額を翌
年以降に繰り越すことができます。
災害により住宅・家財等に生じた損害については、雑損控除により、所得と通
算され、控除しきれない部分は3年間の繰越控除ができます。
また、青色申告事業者の場合は純損失について3年間の繰越控除、白色申告事
業者の場合は事業用資産に係る損害額について3年間の繰越控除ができます。
これに関して、令和5年の税制改正により、特定非常災害に係る損失について
は、繰越控除期間が3年から5年に延長されました。
期間延長の対象となる損失の金額は次のとおりです。
①事業用所得者等の有する特定被災事業用資産の損失額
・青色申告者
その有する事業用資産等の価額のうちに特定被災事業用資産の損失額の
占める割合が10分の1以上である場合…特定非常災害発生年において生じた
純損失の額
・白色申告者
その有する事業用資産の価額のうちに特定被災事業用資産の損失額の占
める割合が10分の1以上である場合…特定非常災害発生年において生じた被
災事業用資産の損失による純損失と変動所得に係る損失による純損失との
合計額
②事業用所得者等以外の居住者の有する住宅家財等につき特定非常災害により
生じた損失額…雑損控除をしても控除しきれない金額
これらの措置は、被災者の生活基盤が著しく損なわれ、被災前のように生活の
糧を得るまでに時間を要することから設けられたものです。
被災された方はこの税制の適用を失念しないように注意してください。
大阪事業部 田邉 新之助