商品を海外から輸入する際にかかる税金、それが「関税」です。普段私たちは意識しませんが、この関税は商品の価格に影響を与え、私たちの暮らしと密に関わっています。
○関税の目的
関税は、主に国内産業の保護を目的としています。例えば、海外の安価な製品が大量に入ってくると、国内の企業は競争に晒され、打撃を受ける可能性があります。関税をかけることで輸入品の価格を上げ、国内製品との価格差を縮めることで、国内の産業を守る役割を担っています。
○日本の関税事情
日本は一般的に工業製品の関税は低く、農産物には高い関税がかけられている傾向があります。これは、日本の農業を守り、食料自給率を維持するためという目的があります。
例えば、米や乳製品、砂糖など、私たちの食生活に欠かせない農産物には、国際的な水準と比べても高い関税が設定されていることがあります。
○消費者への影響
関税は輸入された商品に課される税金なので、輸入業者はそのコストを販売価格に上乗せすることが一般的です。結果として、消費者は関税の影響により高い値段で輸入品を購入することになります。
○他国の報復関税と日本経済への影響
報復関税とは、他国が不公平な貿易措置を講じた際に、その対抗策として相手国からの輸入品に対して追加的に課す関税のことです。この措置は、世界貿易機関（WTO）のルールでも認められています。
最近では米国が「相互関税」を導入し、日本を含む多くの国からの輸入品に対し、関税引き上げを発表しました。これに対し各国が報復関税を発動すると、日本は直接の当事国でなくても、間接的な影響を受けることになります。
例えば、日本の部品や中間財を輸入して最終製品を組み立てていた国が、輸出を減らし生産活動が停滞した場合、需要減退により大きな打撃を受ける可能性があります。
最近話題となっている関税について、少しでもご理解いただければ幸いです。
税理士法人ゆびすい 相続専門部 井上 尭
