昨今の物価高騰により食材費も日々高騰し続けております。こうした状況を踏まえ、有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅などの下記対象施設(※1)にて提供される給食の消費税軽減税率の金額基準が令和7年4月より下記内容(※2)に変更となっております。
※1 対象施設
・ 有料老人ホーム
・ サービス付き高齢者向け住宅
・ 義務教育諸学校の施設
・ 夜間課程を置く高等学校の施設
・ 特別支援学校の幼稚部又は高等部の施設
・ 幼稚園の施設
・ 特別支援学校に設置される寄宿舎
※2 金額基準
令和7年4月1日より同一の日に同一の者に対して行う飲食料品の提供の対価の額(税抜)の上限が変更となります。
一食 690円以下
一日 累計2,070円まで
この金額基準についての具体的な例を、国税庁軽減税率・インボイス制度対応室『消費税の軽減税率制度に関するQ&A』よりご紹介させていただきます。
【例】当社は、有料老人ホームを運営しています。
提供する食事は全て税抜価格で、朝食 500円、昼食 550 円、夕食 640 円で、昼食と夕食の間の 15 時に 500 円の間食を提供しています。
これらの食事は、軽減税率の適用対象となりますか。
①あらかじめ書面により、その累計額の計算対象となる飲食料品の提供を明らかにしていない場合
朝食 500円(軽減≦690円) 昼食550円(≦690円) 間食350円(≦690円) 夕食640円(≦690円) 合計2,040円(≦2,070円)
この場合全てが軽減税率対象となります。
②あらかじめ書面により、その累計額の計算対象となる飲食料品の提供を明らかにしていない場合
(①と間食金額が異なる場合)
朝食 500円(軽減≦690円) 昼食550円(≦690円) 間食500円(≦690円) 夕食640円(≦690円) 合計2,190円(≧2,070円※軽減税率上限額を超えている)
各計算対象は限度額内ですが、合計額が限度額を超えております。
この場合は、朝食→昼食→間食までの合計額が軽減税率対象となり、夕食においては軽減税率の対象となりません。
③あらかじめ書面において、累計額の計算の対象となる飲食料品の提供を、朝食・昼食・夕食と記載していた場合
朝食 500円(軽減≦690円) 昼食550円(≦690円) 間食350円(累計対象外) 夕食640円(≦690円) 合計2,040円但し、軽減税率対象は1,690円(≦2,070円)
書面において累計額ではなく個別で記載している場合は、記載されていない食事(間食)は軽減税率対象外となります。
この様な例題の場合、書面にて計算対象の累計額を記載し、計算対象となる飲食料品(朝食等の記載)の提供を明らかにしていない①が一番有利となります。
また、書面は契約書・重要事項説明書のような入居者への交付書類だけでなく、説明文書でも差し支えないこととなっております。
金額の変更や記載内容について一度検討されてみてはいかがでしょうか。
医療介護専門部 大西