「知」の結集 ゆびすいコラム

2025.09.01

相次いで相続が発生した場合の控除制度

 相続が連続して発生した場合には、相続税の負担が過重となってしまいます。そこで、相続税法においては相次相続控除という制度を設け、その負担の軽減を図ろうとしています。具体的には、10年以内に2回以上の相続があった場合に、一度目の相続(一次相続という)において課された相続税額のうち、一定の金額を二度目の相続(二次相続という)に係る相続税額から控除することができます。

少し長いですが、おおむね次の算式により計算した金額が相次相続控除の額となります。
 A×C/(B-A)[100/100を超えるときは、100/100]×D/C×(10-E)/10
 A:二次相続に係る被相続人が一次相続の際に課された相続税額
 B:二次相続に係る被相続人が一次相続の際に取得した財産の価額
 C:二次相続により財産を取得したすべての人の財産の価額の合計
 D:二次相続によりその相続人が取得した財産の価額
 E:一次相続から二次相続までの期間
文章だけでは分かりにくいため、簡単な例を挙げてみます。
例)・一次相続
祖父が亡くなり、その相続人である父が一人で全遺産を相続した。
遺産総額は1億円で、相続税額は1,220万円であった。
 ・二次相続
祖父が亡くなってから4年後に父が亡くなり、その相続人である子供が一人で全遺産を相続した。
遺産総額は2億であった。
この場合、子供の相続税額の計算上、以下の金額を控除することができます。
1,220万円×2億円/(1億円-1,220万円)[100/100を超えるため、100/100]×2億円/2億円×60%※=732万円
※(10-4)/10=60%
なお、この制度の適用を受けるためには以下の要件を満たさなければなりません。
①被相続人の相続人であること(相続の放棄をした人及び相続権を失った人を除く)
②その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得していること
③その相続の開始前10年以内に開始した相続により取得した財産について被相続人に対し相続税が課税されたこと
相次相続控除 国税庁リンクは(コチラ)

相次いで相続が発生した場合には、相次相続控除の適用を受けられるかもしれないということを念頭に置いておきましょう。適用の有無により相続税額が大きく変わる可能性がございます。
ご不明な点がございましたら、弊社担当者までお気軽にご連絡ください。
大阪事業部 丹藤
税金・相続