「知」の結集 ゆびすいコラム

2025.11.14

「出張旅費規程」賢い活用術

 出張旅費規程とは、出張に伴う交通費・宿泊費・日当などの支給方法について、会社が独自に定めるルールのことです。この仕組みを導入し適切に運用することで、企業・従業員の双方に大きなメリットが生まれます。

・旅費日当の「非課税」メリットとは?
旅費日当とは、出張時に発生する細かな支出(食事代、通信費、ちょっとした備品購入など、逐一精算するには手間のかかる費用)を包括的に補うために支給される手当です。

この日当には、次のような利点があります。
① 会社側のメリット
日当として支給した金額を、会社の損金として処理できます。
② 従業員側のメリット(非課税)
受け取った日当について、所得税・住民税・社会保険料が一切かかりません。結果として、従業員の手取り額を増やすことができます。
 
・正しく導入・運用するための3つのポイント
出張旅費規程は非常に有用な制度ですが、運用方法が不適切だと、税務調査で否認され、追徴課税や役員賞与扱いとされるリスクがあります。制度の恩恵を最大限に活かすためには、以下の3点が欠かせません。
 
① 規程を明確に文書化する
まずは、自社の出張旅費規程を整備し、「何を出張と定義するのか」を書面に落とし込むことが重要です。移動距離や時間、業務内容など、自社に適した基準を細かく設定しましょう。
② 日当額を適正に設定する
法的な上限はありませんが、「社会通念上妥当」と判断できる水準で設定することが求められます。
③ 規程に沿った運用と記録を徹底する
規程を作るだけでは不十分です。定めたルール通りに運用し、その証拠となる記録をきちんと残すことが必要です。
 
非課税となる旅費の範囲については、以下のリンクに詳しく示されていますのでご参照ください。
(国税庁 所得税法基本通達9-3「非課税とされる旅費の範囲」)

東日本事業部 荒川
税金