法人税法上、公益法人等は収益事業という限定列挙された業種にのみ法人税が課税されます。
この収益事業には「出版業」という業種が規定されていますが、例えば、大学の同窓会や非営利型の一般社団法人が会員に対して会報などの出版物を有償で配布している場合も収益事業として課税されるのでしょうか?
法人税法では出版業を以下のように規定しています。
"出版業(特定の資格を有する者を会員とする法人がその会報その他これに準ずる出版物を主として会員に配布するために行うもの及び学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報を専らその会員に配布するために行うものを除く)"
すなわち、「特定の資格を有する者を会員とする法人がその会報その他これに準ずる出版物を主として会員に配布するために行うもの」および「学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報を専らその会員に配布するために行うもの」が課税される出版業から除かれていることが分かります。
ここでいう「特定の資格」とは、特別に定められた法律上の資格、特定の過去の経歴からする資格その他これらに準ずる資格をいうとされています(法人税基本通達15-1-32)。
そのため、出身校を同じくする同窓生は「特定の資格」に該当すると考えられます。
次に、「これに準ずる出版物」とは、会報に代え、又は会報に準じて出版される出版物で主として会員だけに必要とされる特殊な記事を内容とする出版物をいうとされています。
そのため、単行本、月刊誌のような書店等において通常商品として販売されるものと同様な内容のものは、出版業として課税されます(法人税基本通達15-1-33)。
以上をまとめると、会員向けに作成された会報を会員に対して有償で配布しても、除外規定を満たすものであれば、収益事業として課税されないことになります。
一方で、
・会員でない者に対する有償配布
・会員に対するものであっても書店等において通常商品として販売されるものと同様なものを有償配布
といった場合には、収益事業として課税されますので注意が必要です。
収益事業の判定は非常に複雑で、法人税のみならず消費税の課税関係にも影響することがあります。
ご不明点がございましたら、遠慮なく弊社担当者までご連絡ください。
大阪事業部 山本