2026.01.20
令和8年度税制改正大綱が発表されました。
今回はその中で、【暗号資産の分離課税化】についてご説明いたします。
暗号資産とは、インターネット上でやりとりされる電子的な資産のことをいい、ビットコインやイーサリアムなどが代表例として挙げられます。
近年では投資対象としてだけでなく、決済手段や新たな金融サービスの基盤としても注目を集めています。
これまで暗号資産から生じる所得は総合課税の対象となっており、給与所得などと合算されることで、所得金額によっては高い税率が適用されるケースがありました。
今回の税制改正大綱では、暗号資産の譲渡等による所得について、他の所得と分離して 20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、個人住民税5%) の税率で課税する、いわゆる分離課税方式を導入することが検討されています。
これは、上場株式等の譲渡所得と同様の課税方式です。
分離課税の適用開始時期は、金融商品取引法の改正法の施行日を基準として定められ、早ければ令和9年1月1日以後の譲渡等から適用される見込みとされています。
また、分離課税の導入とあわせて、一定の暗号資産取引については損失の繰越控除を認める方向性も示されており、価格変動の大きい暗号資産取引において、より実態に即した税務上の取扱いが期待されます。
もっとも、今回の改正により分離課税の対象となる暗号資産は、すべての暗号資産が一律に対象となるわけではなく、金融商品取引法上の規制対象となる「特定暗号資産」を中心に検討されています。
特定暗号資産の具体的な範囲は今後の法令で定められる予定ですが、一般的には、国内の暗号資産交換業者(登録業者)で取り扱われている暗号資産などが想定されています。
一方で、海外取引所のみで取引されている暗号資産(いわゆる草コイン)や、DeFi(分散型金融)を通じて取得したトークン等については、分離課税の対象とならない可能性があり、その場合には引き続き総合課税として取り扱われることが想定されます。
このため、暗号資産の種類や取引内容によっては、分離課税と総合課税が併存する点に注意が必要です。
なお、本稿の内容はあくまで令和8年度税制改正大綱に基づくものであり、今後の法改正や制度設計の詳細によって取扱いが変更される可能性があります。
