「知」の結集 ゆびすいコラム

2026.02.17

iDeCoのNISAの違い

将来に向けた資産形成の制度として、「NISA」と「iDeCo」を耳にする機会が増えています。NISAについては令和6年1月から新制度(新NISA)が始まりました。どちらも税制上の優遇がある制度ですが、仕組みや目的には違いがあります。

1.目的の違い

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の形成を目的とした年金制度です。原則として60歳まで引き出すことができないため、「老後まで使わない資金」を積み立てる仕組みといえます。

一方、新NISAは、老後資金に限らず、教育資金や将来の生活資金など、幅広い目的で利用できる投資制度です。必要なタイミングで売却できる点が特徴です。

2.税制優遇の違い

iDeCoの大きな特徴は、掛金が全額所得控除になる点です。所得税、住民税の軽減効果があり、運用益も非課税となります。iDeCoについて、一時金として受け取る場合は退職所得、年金として受け取る場合は雑所得として課税されます。いずれも、退職所得控除や公的年金等控除が適用されるため、受取時の税負担が軽減される仕組みになっています。

新NISAも運用益が非課税となる制度ですが、掛金そのものが所得控除になるわけではありません。新NISAについては、受取時は非課税で、原則として所得税・住民税はかかりません。確定申告も不要な点が特徴です。

3.使い勝手の違い

iDeCoは税制メリットが大きい反面、途中で資金を引き出せないという制約があります。

新NISAは、いつでも売却できるため、ライフプランの変化に対応しやすい点が魅力です。新NISAには非課税保有限度額(総枠)が設定されており、保有商品を売却した場合、翌年以降その枠を再利用して投資することができます。ただし、年間の投資上限額360万円(つみたて投資枠と成長投資枠の合計額)以上の投資を行うことはできません。

4.相続があった場合の違い

iDeCo加入者が亡くなった場合、遺族に対して死亡一時金が支払われます。死亡後3年以内に死亡一時金の請求を行ったときは、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、法定相続人の数×500万円の非課税枠を超える部分にのみ課税されます。なお、死亡後3年超5年以内に請求を行ったときは、所得税の一時所得として課税されます。5年を超えて請求を行ったときは相続税のみなし相続財産ではなく、通常の相続財産となります。この場合は法定相続人の数×500万円の非課税枠を使うことができなくなります。

新NISAについて相続があった場合、相続人はNISA口座を引き継ぐことはできず、NISA口座の株式等は課税口座に移管されます。被相続人死亡前に発生した運用益については所得税・住民税は非課税ですが、相続税の財産評価額は相続発生日の時価で計算される点に留意が必要です。

5.iDeCoの10年ルール

退職所得の税額計算について、退職金の場合は勤続年数、iDeCo一時金の場合は加入期間に応じて退職所得控除を受ける事ができます。
ただし、一定期間内で2回以上の退職金や一時金を受け取ると重複期間の調整計算が入り、退職所得控除をフルで使うことができません。
従前、iDeCoを一時金として受取り、5年以上経過してから退職金を受け取ると、両方の退職所得の計算で勤続年数、加入期間に応じて退職所得控除を受けることができました。
しかし、改正により、令和8年1月1日以降の受取分については、iDeCoの一時金の受取りから10年以上経過しなければ、両方の退職所得控除の適用を受けることができなくなり、重複期間の調整計算が必要となります。
定年が決まっており、退職時期を選べないような方については、iDeCo一時金と退職金の両方で退職所得控除をフルで使うことが難しくなりました。

iDeCoは一時金と年金の併用も可能ですので、税負担やライフプランに応じてどのように受け取るか検討が必要です。

新NISAとiDeCoは、どちらか一方を選ぶ制度ではなく、目的に応じて使い分ける制度です。
まずは自由度の高い新NISAから始め、余裕が出てきたらiDeCoを併用する、という考え方も一つの方法です。

ご自身の収入や将来設計によって最適な選択は異なります。制度の特徴を正しく理解し、無理のない形で活用することが大切です。

税理士法人ゆびすい 大阪事業部

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