「知」の結集 ゆびすいコラム

2026.02.18

インボイス制度と福祉施設の対応

令和5年10月1日から開始された「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」は、福祉施設にとっても無関係ではありません。

介護施設や保育園では、非課税取引が中心となるケースが多い一方、外部業者との委託契約や物品購入など、消費税が関係する取引も一定数存在します。

今回は、福祉施設がインボイス制度において注意すべきポイントをわかりやすく整理します。

 

1.インボイス制度とは

インボイス制度とは、事業者が仕入税額控除を受けるために、「適格請求書(インボイス)」の保存が必要となる制度です。適格請求書には、主に以下の事項を記載する必要があります。

 ・適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

 ・取引年月日

 ・取引内容

 ・税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率 

 ・税率ごとに区分した消費税額等 

 ・書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 

これにより、取引先が「課税事業者か免税事業者か」が明確になります。

 

2.福祉施設でも注意が必要なケース

福祉施設は介護保険サービスや保育料など非課税収入が多いため、「消費税は関係ない」と思われがちです。

しかし、課税売上高が一定額を超えて課税事業者となる場合、以下のような取引ではインボイス対応が必要になります。

(1)給食業務の外部委託

給食業者が免税事業者の場合、仕入税額控除ができず、施設側の負担が増える可能性があります。

(2)清掃・設備管理・警備の委託

委託契約は課税取引となることが多く、請求書がインボイスに対応しているか確認が必要です。

(3)物品購入(おむつ・備品・ICT機器など)

仕入先が登録事業者であるかどうかが重要になります。

(4)講師謝金・業務委託費

外部講師や個人事業主が免税事業者の場合も同様に控除が制限されます。

 

3.免税事業者との取引はどうなるのか?

インボイス制度開始後、免税事業者からの請求書では原則として仕入税額控除ができません。

ただし、以下の経過措置が設けられています。

【現行制度】

 ・令和5年10月1日から令和8年9月30日まで:仕入税額相当額の80%控除可能

 ・令和8年10月1日から令和11年9月30日まで:仕入税額相当額の50%控除可能

なお、令和8年度税制改正大綱では控除割合を段階的に縮小する案が示されています。

【税制改正大綱で示された案(令和8年10月以降)】

 ・令和8年10月1日から令和10年9月30日まで:仕入税額相当額の70%控除可能

 ・令和10年10月1日から令和12年9月30日まで:仕入税額相当額の50%控除可能

 ・令和12年10月1日から令和13年9月30日まで:仕入税額相当額の30%控除可能

※今後の法改正により変更される可能性があります。

福祉施設においても、今後の負担増を見据えた取引管理が必要です。

「非課税事業だから関係ない」と思わず、取引先の登録状況確認や請求書管理を早めに整備することが重要です。

 

税理士法人ゆびすい 岡山事業部

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