「知」の結集 ゆびすいコラム

2026.04.08

個人事業主の家事消費|所得税と消費税の取扱いの違いと注意点

飲食店や小売店等を営む個人事業者にとって、

商品や貯蔵中の備品・消耗品等(棚卸資産)をプライベートで使う「家事消費」は日常的に発生します。

この家事消費については、所得税消費税で考え方が異なります。

また、棚卸資産それ以外の資産かによっても取扱いが異なるため、注意が必要です。


1.棚卸資産を家事消費した場合

(1)所得税
商品などの棚卸資産を自分で消費したり、贈与した場合でも、

税務上は、実際に販売したものと同様に扱い、売上計上を行います。

商品を自分で使ったときに売上を計上しないと、

「仕入だけ計上されて売上がない状態」となり、所得が過少になります。

このため、収入と費用のバランスをとる観点から、

仕入金額を下回らない水準で売上を計上することとされています。


売上の計上方法

原則:通常の販売価額(時価)

特例:以下のいずれか高い金額

・仕入価額

・通常の販売価額の70%


(2)消費税
消費税では、商品を自分で使用した場合でも、

自分に販売したものとして課税関係が生じます(みなし譲渡)。


課税標準

原則:通常の販売価額(時価)


特例:仕入価額以上かつ、通常の販売価額のおおむね50%以上の金額を対価とした場合には、

その金額を課税標準とすることが認められます。


2.棚卸資産以外の資産を家事消費した場合

・減価償却資産を家事消費した場合

(1)所得税

棚卸資産のように売上計上は行わず、事業主貸で処理します。


(2)消費税
消費税では、棚卸資産以外の資産を家事のために使用した場合も、

原則として課税対象となります。


この場合の課税標準は、譲渡時の時価が対価の額となります。


なお、仕入価額以上かつ通常の販売価額のおおむね50%以上とする特例は、

棚卸資産にのみ適用される点に注意が必要です。


3.まとめ


・棚卸資産

 所得税:売上計上する

 消費税:課税対象となる


・棚卸資産以外の資産

 所得税:売上計上しない(事業主貸)

 消費税:課税対象となる


家事消費は、所得税と消費税で考え方が異なります。

所得税では主に棚卸資産が対象となるのに対し、消費税では棚卸資産以外の資産も課税対象となる点に注意が必要です。


また、計算基準についても、所得税は70%、消費税は50%といった違いがあります。


なお、棚卸資産を家事消費した場合には、

所得税と消費税でそれぞれ異なる基準(70%・50%)に基づいて計上しても差し支えありません。

 

税理士法人ゆびすい 大阪事業部

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