「知」の結集 ゆびすいコラム

2026.04.08

役員退職金の実務上の留意点

役員退職金は、法人税において大きな節税効果が期待できる一方で、税務調査において重点的に確認される論点の一つです。

役員退職金の否認リスクは、大きく分けて次の3点に整理することができます。
①算入時期の誤り(未払計上)、②過大金額、③退職実態の欠如(分掌変更等)です。
以下、それぞれについて解説します。

①算入時期の誤り

役員退職金は、株主総会決議等により金額が具体的に確定した事業年度において損金算入するのが原則です。
例えば、取締役会などで金額を内定した段階で未払計上し、損金算入してしまうケースがあります。
しかし、この段階では税務上の「債務確定」が認められず、損金算入は否認される可能性が高いといえます。
したがって、正式な決議のタイミングと会計処理の整合性を確保することが重要です。
 

②過大金額

役員退職金は、金額が不相当に高額である場合、その超過部分が損金不算入とされます。明確な算定基準が法令で定められているわけではありませんが、一般的には功績倍率法などを用いて合理的に算定し、同業他社との比較や在任期間、会社の業績などを総合的に勘案して判断されます。その算定根拠を説明できる状態にしておくことが必要です。
 

③退職実態の欠如

役員退職金は、その名のとおり「退職」を前提とするものであり、実質的に退職していない場合には退職金として認められません。特に問題となりやすいのが、分掌変更による退職金支給です。
例えば、代表取締役を退任して会長に就任した場合であっても、経営への関与が継続している場合には、実質的な退職とは認められない可能性があります。一般的には、職務内容の大幅な変更や報酬の減少などが判断要素とされますが、最終的には実態に基づいて判断されるため、形式だけの役職変更では不十分です。
 

以上の3点に共通するのは、「形式だけではなく実態が重視される」という点です。役員退職金は節税効果の高い有効な税務戦略の一つですが、要件を満たしていなければ否認されるリスクも伴います。

退職金の支給について、ご不安やご関心がある方は、是非ゆびすいの担当者までお気軽にご相談ください。
 

税理士法人ゆびすい 大阪事業部

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