「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.02.09

良い節税とは

 納税者の皆様とお話をしていると次のようなお話を聞くことがあります。

「知り合いの資産家は、不動産管理会社を作って税金をほとんど払っていないらしい」 「知り合いの社長は、株式交換で持株会社を作って税金をほとんど払っていないらしい」  ではこのような節税策で実際にどの税金がいくら節税されているのか。実行している納税者自信が理解していないことも少なくありません。

    税理士の先生が難しいことをやってくれている。内容は高度でよくわからないがとにかく節税になっている。

 実はここに落とし穴があります。

 節税のための会社設立や組織再編を利用した節税は、想定した利益計画や経済情勢が見込みどおりに行くことが前提になっていることが多いのです。さらには、前提が一つ違えば、節税どころか増税になってしまうことも少なくありません。

 しかし、組織再編税制や相続税法が複雑で難しいため、納税者にとっては、よくわからないが節税になっているハズだ、という思考が働いてしまうのです。

 節税のために専門家に報酬を支払ったり保険料を支払って実行したにもかかわらず、結果として節税になっているのかどうかよくわからない、このような状況を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。

 税理士との打合せの段階で質問をどんどんすることです。税理士は納税者の状況がわからないと適切な提案ができません。税理士が用意した質問に答えるだけでは情報が充分でないことが多いのです。

 また、どんどん質問してくる納税者に対しては、税理士も「このお客様にはいいかげんなことはできないな」という緊張感をもちます。

 さらに、採用した節税手法に関して、税理士がどのような質問にもスラスラ答えてくれるか、実はこれも大事です。税法は複雑であるとしても、矛盾のない節税策であれば節税効果も理路整然としているからです。

 納税者からの質問で見えてくる情報が、判断の分かれ目になるほど重要であることもあるのです。

(税理士:白井一馬)