「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.05.15

構造改革費用

 決算発表の時期を迎えましたが多くの企業が構造改革費用というのを計上し、それが減益要因になっているのがわかります。

 例えば、コマツは、08年3月期に323億円、10年3月期に100億円の構造改革費用を計上すると発表しています。

 構造改革費用の計上というのは、間単にいえば、新規投資失敗の清算をしましたよということです。

 100億円をかけて新工場を建設した、これにより人件費と減価償却費が毎年発生するが、これは販売の増加で充分回収できる見込みだった。

 ところが、世界景気の減速により販売増が見込めなくなったので新工場を売却してしまおう。これにより売却損と退職費用で50億円が発生した。

 この50億円が構造改革費用です。つまり新規の投資は予定通りにいかなかったということです。同時に今回の損失計上により今後は減価償却費も人件費も発生しませんということでもあるわけです。

 構造改革費用というのは、なんとなく語感がいいのでこのような呼び方をするんでしょうね。   しかし、逆に景気が回復した場合には、新規の需要に対応できなくなりますので、企業としては新工場を残しておくのか撤退するのかは判断の難しいところです。

 例えばトヨタなどは、北米やロシアの工場など開店休業状態にある新工場も需要回復局面に備え、撤退を見送ったようです。

 このような視点で決算内容をみるのも面白いかもしれません。

(税理士:白井一馬)