「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.06.24

不景気をきっかけに

この不景気の中で聞こえるのは、やはり嘆きの声です。一部の企業を除き、経営成績が悪化している企業がほとんどです。

しかし、嘆いてばかりもいられません。不景気をきっかけに、新たな動きをする企業もあるようです。

大企業では今年から、新卒採用を大幅に削減するところが多いようです。ということは、大手企業に入れない優秀な人材が増えるということです。

その人材を狙って、採用期間を長くしている中小企業が多いようです。新入社員は大手企業に行く傾向が強く、なかなか優秀な人材が確保できない中小企業にとってはチャンスです。これを機に、会社の若返りを図ろうという狙いです。

しかし、一方で大手に入りたかった新入社員が会社に定着してくれるかが問題です。転職など当たり前の時代に、優秀な人材を会社に引き留める方法が重要になってきます。そこで、社員の待遇を見直し、よりよい環境で働けるように努力する企業も増えています。

また、不景気での教訓を踏まえ、経営を見直すべきだという話もあります。

近年多い経営手法は、期首に数年間もしくは1年間の経営計画を作り、これを達成するための予算を作り、1年間活動するという方法です。

この方法には弱点があります。例えば、去年、主に製造業では、クリスマス商戦に向けて作りだめをしていました。しかし、今回の不景気のきっかけとなったサブプライムショックにより、消費が冷え込みました。これにより、物が売れず、大量に在庫が残ったため、多額の損失を生みだしました。

これを改善するには、こまめに経営計画を見直すことです。経営環境が著しく変わる昨今では、1年先を予測することは困難です。こまめに見直せば、より早くリスクを回避することができます。

また、予算の達成だけを目標にすると、本来の目標(シェアを5%上げるなど)を見失ってしまうことがあります。本来の目標を達成するための予算の数値を出したのに、予算の数値だけに集中してしまい、何のために予算を出したのかわからなくなります。

不景気で気持ちが落ち込む中、この不景気をチャンスと捉え、行動を起こしている企業もあるみたいです。常に会社を良くしようという考えがあってこその行動ですね。すばらしい経営者は、やはり常に会社を良くしようと考えているということでしょうか。

(上田純也)