「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.07.23

夜郎自大の日本

 7月16日の日経新聞の名物コラム欄「大機小機」は、GDPで日本が中国に抜かれ、世界第2位の地位を失うことがそんなにダメなことなのか、という内容です(タイトルは「夜郎自大の経済大国論を廃す」)。

 確かにどの尺度の為替レートを用いるかで一人当たりのGDPの順位は2位にも18位にもなりますので、順位にあまり意味はないし、今現在でも3万ドル超という一人当たりGDPは充分富裕国といえるものです。

 戦後経済史の大きな流れでみれば、その順番が中国に回ってきたのも自然の成り行きだというのも説得力があります。

 日本は経済社会共同体としては老年期を迎えようとしているといっていいと思います。肉体的成長を追い求めることにそれほど意味があるとは思えません。  最近の脳科学では、判断力や直観力は高齢者でも発達し続けることが究明されています。国も同様ではないでしょうか。肉体的成長を終えた今、日本が過去の成長により富の蓄積に成功しているのであれば、その蓄積をどう維持・管理し、どう分配するかということこそが大切なのではと思います。それには、大人としての知恵が必要です。

 ちなみに、タイトルの「夜郎自大」というのは、「身の丈知らず」を表す中国の故事成語です。

(税理士:白井一馬)